オンラインゲームからの事件 モバプリの知っ得[182]


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

大阪府警は二日、オンランゲームを通じて知り合った11歳〜14歳の少年たちにわいせつ行為・性的暴行を加えたとして33歳の容疑者を逮捕したと発表しました。こうした性暴力事件は女性の方が被害に合うイメージが強いかもしれませんが、男性が加害者で男性が被害者、女性が加害者で男性が被害者という事件もたびたび起こっています。性別に関係なく、さまざまなパターンがあることを認識して、ステレオタイプにとらわれずにしっかりと警戒しなければいけません。

人気のオンラインゲームは、eスポーツとも呼ばれ、社会的にも盛り上がりをみせています。オンラインで対戦できて、仲間とチームを組んで、ボイスチャット機能で交流を深められると人気です。コロナ禍で自宅にいるよう自粛を強いられる中、おうちにいながら友達と一緒に遊ぶことができると、コロナ禍で伸びてきたゲームの種類です。

一方で、事件と結びついていることも複数あります。

オンラインゲームは刺激的で、仲間とチームを組んで「ボイスチャット」機能などで交流を深めることができます。そういう中で闘うことで一体感が生まれたり、ゲームが上手い人=信用できる人、と勘違いしたりするかもしれません。

プロゲーマーと呼ばれる、ゲームが上手い人が子どもたちの憧れにもなりますが、上手い人=人格者というような受け止めをしてしまう子どもたちもいると思います。しかし、今回のように、相手が性暴力を狙っているかもしれません。ゲームで知っているからといってその人に会いに行くといったことをしないようにと、親子の間で決めておいた方がいいと思います。

優しいふりをしてターゲットに近づき、ゲームの共通の話題などで仲良くなり、断りづらくなった後で犯行におよぶことを「チャイルドグルーミング」と呼びます。

ボイスチャットなどで雑談だったのが、悩み相談などを経て一体感が生まれ、「この人なら大丈夫」という信頼感が醸成され、うっかり気を許して秘密を話してしまった結果、相談が進む延長上で、その秘密をばらされたくなかったら「裸の写真を送れ」とか「お金をわたせ」などと脅迫してくるパターンもあります。
 

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

あわせて、対戦型のオンラインゲームは多くの場合、対象年齢を定めていて、高校生以上となっています。銃を使って敵を倒すなどの刺激が強いゲームはそうです。ですが、実際のところは小中学生に人気があって、「対象年齢」設定と実際に利用する子どもたちの年齢にギャップがあります。

刺激が強く、興奮を呼び、チームの一体感という要素は、下心をもって近づいてくる人と悪い意味で相性がいいので、保護者の皆さんにはどんな人とゲームをしているかについても気を付けて、そうやって信頼を勝ち取っていく人がいるんだという手口を子どもに伝えておくのも大事なことでしょう。
 

~ 解説 ~

※ ボイスチャット機能 … ゲームの対戦中、離れた場所にいるチームメイトと電話のように喋れる機能のことで、「ボイチャ」と呼ばれることも。ボイチャをオンにしていると家族が呼びかける声が相手に聞こえることもあるため、自分の本名が知られてしまったり、選挙カーの音が聞こえると住んでいる地域が特定されたりすることもあります
 

 チャイルドグルーミング … 以前に詳しく紹介した過去記事はコチラから(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1446044.html)。チャイルドグルーミングはオンラインゲームだけでなく、SNSで行う人もいます

 

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」でも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

http://smartphoneokoku.net/