変わるTwitter モバプリの知っ得[202]


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先月27日、実業家のイーロン・マスク氏がSNS大手ツイッターの買収を完了しました。

イーロン・マスク氏は、電気自動車「テスラ」や宇宙開発事業「スペースX」を手掛けている、世界中から注目を集める実業家です。

先月は日本でもスペースX社の衛星ブロードバンド通信「Starlink」のサービスが開始し、話題となりました。

マスク氏は「ツイッターを自由な言論空間にする」と宣言し、ツイッターの買収に動いていましたが二転三転(7月には「買収撤回宣言」も)、結果的に10月27日に買収が完了しました。

買収後もマスク氏は、ツイッターの経営を黒字化するためにさまざまなプラン・ルール変更を表明しており、結果として混乱が広がっています。
 

何のための認証バッジ?

ツイッターではこれまで、有名人や政治家、メディアなどが「なりすましではなく本物である」という証明のため「認証バッジ」というシステムを設けていました。

琉球新報のツイッターアカウント。名前の後ろの青いチェックが「認証バッジ」

このバッジが付いていれば、“本物である”という証しのマークですね。

しかし、マスク氏がツイッターを買収後「(月額8ドルの)ツイッター Blueに加入していればバッジが付く」とルールを変えたことで混乱が広がりました(ツイッター Blueは11月11日時点で日本未提供)。

つまり、これまで信頼の証しとして使っていたマークが、お金を払えば誰でも使えるものに一夜にして変わったのです(実際アメリカでは、企業や政治家になりすましたアカウントがお金を払って認証バッジを手に入れて話題となっています)。
 

ツイッター日本法人の社員も大幅に解雇。
「情報操作?」のうわさも広がる

またマスク氏の買収にともない、ツイッター社の社員の大量解雇の報道も出ています。

実際、ツイッター日本法人の社員の方も退職報告をツイッター上で行なっており、大きな組織改革が行われているようです。

それにともない、ツイッター上ではさまざまな臆測やうわさが飛び交っています。

例えば、「ツイッター社が特定のメディアの情報を優先的にニュース欄に表示させていた」というものです。

ツイッター社はさまざまなメディアの情報を「キュレーション(選定)」し、ニュース欄に掲載していました。この選定に関して、特定のメディアの過度に優遇し、情報を操作していたという話ですね。

実際「情報を操作していた」というためには、内部の選定で意図的な選択を行なっていたか「内部告発」が出てこないと証明が難しいと思います。私も調べてみましたが、そうした証言や告発などは見つかりませんでした(11月11日現在)。

ツイッター社も組織改革で手一杯だと思いますので、こうしたうわさに対しての回答なども期待できません。

デマや流言が広がる方程式として「あいまいさ×重要さ」がよく用いられます。

あいまいであればあるほど、重要であればあるほど、デマが広がるというわけです。

今回の買収劇は、ツイッターユーザーからすると今後が大きく変わるであろう「重要」なできごとです。

その上、言動が二転三転するオーナーのイーロン・マスク氏、買収騒動でツイッター社からの正確なアナウンスが期待できないため、「あいまいさ」もどんどん膨らみます。

おそらくもうしばらくはツイッターを巡るすったもんだが続き、中には事実に基づかない情報やデマが今後も続くでしょう。
 

どこかで「変わる」ことを想定して使い続ける

買収や企業の方向転換により、サービスの内容が大きく変わることはウェブの世界では何も珍しくはありません。

例えば、写真のクラウドストレージサービス「グーグルフォト」は、当初無料で無制限にアップロードすることができました。そのため、写真を数万枚預けている人も多かったのではないでしょうか。

しかしながらグーグルは方針を転換し、2021年5月をもって無料の無制限サービスを終了し、今後は5GB以上データを預ける場合は有料となりました。

「写真は無料で預けられるもの」と油断していた方は焦ったことでしょう。
 

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

ツイッターも買収により、サービスや“言論空間としての機能”が今後どうなっていくのか読みにくくなりました。

そのため、他のSNSへの移行を表明する人も出てきています。

ウェブサービスやSNSは進化のスピードが速い分、どこかのタイミングで「自分には合わない」と感じる瞬間がくるかもしれません。

その時に焦らないためにも、普段から「ここがダメになったら次はここに行く」という想定をしておくことをお勧めします。

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」でも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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