大手IT企業の不況の原因 モバプリの知っ得[214]


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

ここ最近、人気YouTuber達が「YouTubeでは稼げなくなった」「広告収入が下がった」などの動画を出して話題になっています。YouTuber一人一人の収入が下がる原因は色々とあるのでしょうが、実はYouTubeそのものの広告収入も伸びが悪くなっています。YouTubeの2022年7月〜9月の広告の売り上げは、初めて前年を下回りました。これまで、右肩上がりで成長を続けていたYouTubeですが、勢いや成長が落ち着き始めているということですね。

企業は売り上げや利益が上がったのか下がったのか、その理由は何故なのかを報告する「決算発表会」を定期的に行います。それらを見ていくと、YouTubeだけでなく他の大手IT企業もこの1年は売り上げ利益が減るなど苦労しています。各社とも理由として「新型コロナの反動」と述べています。実は、2020年に新型コロナウィルスが世界中で広がり「ステイホーム」を強制され、その間やる事がなくなった人たちがスマホをずっと使い続けたことでIT企業は売り上げが大きく伸びました。しかし、新型コロナの感染が少しずつ落ち着いてステイホームが解除されると、売り上げは元に戻り、結果として今苦しんでいるという事ですね。

ざっくりまとめると、私たちがスマホを使えば使うほどIT企業は儲かる仕組みになっています。沢山広告を見たり、物を買ったりするからです。私たちはスマホアプリが楽しすぎて、ついつい時間を忘れて使ってしまいます。それはIT企業が儲かるため、私たちが沢山使いたくなるような、飽きさせない様に作り込まれているからです。IT企業の決算発表会は遠い世界の話のように感じるかもしれませんが、こうした所からスマホの本質が見えてくるので面白いですね。

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

~ 言葉の解説 ~

YouTubeでは稼げなくなった … YouTubeに動画を投稿すると、「視聴数」「高評価数」などの数字だけでなく、「平均視聴時間」「視聴者がYouTubeにアクセスしている時間」などかなり細かい分析データを見ることができます。視聴者だけでなく、YouTuber側もまた「こういう風に動画を作って投稿しないと人気が落ちていくよ」とプレッシャーをかけられる作りになっています。

飽きせない様に作り込まれている … YouTubeはTikTokに対抗すべく、ショート動画に力を入れ始めました。他のSNSもそうですが、世の中で人気の機能が出てくると、それらを積極的に取り込んで、視聴者を飽きさせないようにします。これはゲームも同じような仕組みで、プレイヤーを飽きさせないよう人気アニメとコラボをしたり、新要素を追加したりするなど積極的にアップデートをしています。

 

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」でも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

http://smartphoneokoku.net/