「島ぜんぶでおーきな祭 第15回沖縄国際映画祭」で来沖! 食べたいのはサトウキビとヤギ汁!? 後藤大さん・瑚々さん


この記事を書いた人 Avatar photo 饒波 貴子

4月に行われた「島ぜんぶでおーきな祭 第15回沖縄国際映画祭」は県内最大級のエンターテインメントの祭典。国際通りレッドカーペットをはじめ映画上映・ステージイベント、多数のプログラムが開催されました。たくさんのエンタメ関係者が参加した中、今回はフレッシュな俳優2人をキャッチ。出品作や沖縄について聞いてみました。

「うそ」をテーマに新進気鋭の映画監督が作品を手掛ける「嘘の起源」というショートムービープロジェクトの2作品、「絵掻きうた」主演の後藤大(ごとう・だい)さん、「ホワイト ライ」主演の瑚々(ここ)さんです。後藤大さんは「仮面ライダー」シリーズ、そしてミュージカルや2.5次元の舞台に出演を続ける人気俳優。11歳の時にデビューした瑚々さんはモデル・俳優として活動し、昨年『ミスマガジン2022』グランプリに輝き注目を集めています。今後活躍を広げる2人の思いをどうぞ。

聞き手:饒波貴子(フリーライター)

ショートムービープロジェクト「嘘の起源」の2作品で主演を務めた、「絵掻きうた」の後藤大さん(右)と「ホワイト ライ」の瑚々さん(左)。羽田空港で初めて会い同じ飛行機に乗って沖縄に到着したそうですが、インタビュー中は息の合ったコンビネーションで楽しく会話。作品アピールもバッチリでした。

「うそ」をテーマにした2作品

―沖縄にようこそ! お2人の主演作はショートムービープロジェクト「嘘の起源」の作品。新感覚のプロジェクトで若い才能が集まっているのではとイメージしましたが、どんな現場でしたか?

後藤:僕が出演した作品は「絵掻きうた」。同じプロジェクトですが「ホワイト ライ」出演者の瑚々ちゃんに会うのは今日が初めてなんです。沖縄国際映画祭の上映会場で「はじめまして」とあいさつする関係者も多そうです。「ホワイト ライ」出演者の安井謙太郎くんは、以前舞台で共演しました。

瑚々:後藤さんとは、今日空港で「はじめまして」とあいさつしました。撮影現場は比較的若くて、谷口雄哉監督は20歳ちょっと過ぎの大学生でした。あれ!? 違う? 何でもないです(笑)。

後藤:プロジェクト通り、インタビューでもうそが始まりましたか(笑)? 「絵掻きうた」の杉岡知哉監督は30代でした。

瑚々:私の現場はほんわかムードで楽しかったですが、寒かったです。

後藤:撮影が冬だったので本当に寒かったです。絵を描くシーンが多いので、手がプルプル震えそうで気を付けていました。

瑚々:限られた時間でギュッと集中して製作した作品です。寒かったですが結構晴れていてリラックスできたので、良い撮影ができたと思っています。

後藤:「絵掻きうた」は、曇っている白い空の下で撮影していた感じでしたね。

瑚々:3日違いで撮影しましたが、気温はかなり違っていました。

ショートムービー「絵掻きうた」に主演した後藤大(ごとう・だい)さん

―似顔絵師を演じた後藤さん。実際に絵が得意なんですね。

後藤:学生の時からずっと描いていて、作品中の絵も自分で描かせてもらいました。

―後藤さんに当てた役柄でしたか? それとも絵が描ける俳優だから選ばれましたか?

後藤:僕が絵が描けることを杉岡監督はご存じなので、似顔絵師の佐野薫に配役してくださったと思います。

―後藤さんだからこその役。大好きな絵を描いて作り上げたこの作品をどう思っていますか?

後藤:大好きな映画で大好きな絵を描いて演じたのは初めてで、自分の力を発揮しようという気持ちでした。絵描きとしても役者としてもうれしく、後藤大個人としても本当に光栄なことです。両方共もっと頑張ろうと思うきっかけになりました。タイトルは「描」という字を使わず「絵掻きうた」で、脚本を手掛けた杉岡監督の思いがつまっていますし、僕はあがいてもがきました。

―「掻」という字に意味があると思っていました。役作りは苦労しましたか?

後藤:演じた薫は似顔絵を描きながらその人の感情やうそが分かり、絵で表現してしまう特殊能力があります。それを能力に見せないように、なるべく繊細に落とし込みました。でも普段から絵をやっているので、相手の感情を敏感に感じ取ってしまうことが実際にあったんです。なので、自分をベースに作っていけた役だと思っています。

―絵はいつから描いているんですか?

後藤:本当にちっちゃい時。幼稚園の昼休みにポケモンの夢を見たんです。起きた瞬間先生に「ペンと紙を持ってきて」とお願いして、ポケモンの絵を描き始めたらしいんですよ。そこから絵を描く人生が始まったので、5歳くらいですね。

現場マジックで楽しく撮影

―3月に高校を卒業したばかりの瑚々さん。大人っぽくて美しいです。小学生のころに芸能活動を始めてキャリアを積む中、今回の「ホワイト ライ」はどんな作品になりましたか?

ショートムービー「ホワイト ライ」に主演した瑚々(ここ)さん

瑚々:演技のレッスンは続けていましたが、カメラの前で実際にお芝居をするのは約3年ぶりでした。すごく緊張していた中、共演者の方もスタッフさんも優しくて現場の雰囲気が温かく、だんだんリラックスできたんです。でも現場はサクサク進み、撮影期間も短かったので「あ、終わっちゃった」とあっという間でした。演じた出雲楓花は、気配り屋の音大生で誰にも本音を出さないような大人びた子。罪悪感を抱えていたり恋と友情そして進路にも悩んでいたりしても、1人でため込み爆発しちゃう。悩みが多過ぎてため込んでしまうのは、今時の女の子の姿でもあるんでしょうね。

―恋か友情か悩むなど、役を理解して演じたのですね。女優のお仕事、楽しそうだけど大変そう!

瑚々:台本の読み合わせも撮影前から数回あるなど、念入りに準備を進めました。演じる感覚はこうだったと思い起こす場面が何度かあり、楽しかったと思いつつ反省も学びもたくさんある作品になりました。

―撮影の思い出や共演者について教えていただきたいですが、まず沖縄出身のガレッジセール・川田広樹さん。どんな印象を持ちましたか?

瑚々:ぶっ飛んだ教師役だった川田さん。現場ではもっともっといける〜って雰囲気で、盛り上がりました。苦労しながらも楽しそうにしている川田さんの表情を見て、芸人で役者の顔を持つのはこういうことかと感じました(笑)。新鮮でカッコよかったです。幼なじみを演じたAKB48メンバーの田口愛佳ちゃんは一歳年上で、いつの間にかくだらない話ができるくらいの仲になり、不思議な「現場マジック」にかかっていました(笑)。連絡先を交換して遊びに行く相談もしていますし、本当の親友になっちゃいましたよ。

後藤:現場マジックってありますよね。僕は岡野海斗くんとは2回目の共演ですが、前回は舞台だったので映像作品でのお芝居がとても新鮮でした。主題歌の「CORLOR」は海斗が手掛けた楽曲。彼が音楽を担当し僕は絵を描かせていただいたことも、本作のポイントだと思っています。初共演の秦健豪くんは若いのにお芝居も表情も繊細で、たくさんの刺激をもらいました。古賀成美さんもはじめましてでしたが、仲良くさせていただきました。

―共演していなくても同じプロジェクトの作品で主演という縁で、後藤さんと瑚々さんも今後交流がありそうですね。

後藤:そうですね! 東京で公開予定がありますし、よろしくお願いします。

瑚々:よろしくお願いします。後藤さんはすごく明るくて、出会った瞬間から面白い。久しぶりに会ったような気分でした(笑)。年齢は私が10歳年下です。

後藤:でも大人っぽい。自分が子どもに思えます(笑)。沖縄に着いてタクシーでの移動中、僕が変なことを言うと全部瑚々ちゃんが拾ってくれたんですよ。一緒に作品づくりに関わってみたいです。

瑚々:私も変なことを言うので、デコボココンビになりそうです(笑)。

将来は沖縄に移住!?

―沖縄国際映画祭、瑚々さんは2019年にも参加したそうですね。

瑚々:女子高校生5人を描いた「私たちは、」という映画に出演し、上映されたのでレッドカーペットを歩きました。歓声を浴びたくさんの観客の方に視線を向けられ、自分がスターになった気分でした。この場にまた来られる女優さんになりたいと、夢見心地で未来を想像できました。レッドカーペットは憧れなので光栄でした。

後藤:僕は初めてなので楽しみです! 「沖縄に行ってレッドカーペットを歩く」と友達みんなに言いましたし、母と姉が見に来てくれるので胸を張って歩きます(笑)。レッドカーペット先輩の瑚々さんの後ろをついていけるような役者になりたいので頑張ります。

瑚々:背中を見ながらですね(笑)。

―沖縄の印象や思い出を教えてください。これまで来ましたか。

後藤:数え切れないくらい来ています。家族や友達とプライベートで来て、仕事で来たこともあります。暖かくてごはんがおいしいですね。そしてみなさんフレンドリーで、東京にいるよりも人との距離が近いと感じます。暖かいから心もやっぱり穏やかになる、沖縄の人はみんな優しいと思っています。僕は本当に沖縄が大好きです。

瑚々:東京にいるとみんな急いでいて何かに追われているようですよね。なんでそんなに焦っているの!? と沖縄の人に思われそう。来るとゆったりして、沖縄は時間の流れ方が違うと感じます。

後藤:本当にそう。沖縄にいると「なんくるないさ~」が聞こえてきますよ。

―東京は時間に厳しく緊張感がありそうです。沖縄の料理で好きなものはありますか?

後藤:東京でも頻繁に沖縄料理を食べに行っています。渋谷においしいお店があって、海ぶどうやソーキそばを食べています。お酒は弱いですが、今回は初めて泡盛を飲んでみようと思っていますよ。そしてヤギ汁も味わってみたい。クセがあるけどおいしい、お祭りで振舞われるなど聞きました。

瑚々:知らなかった。私も食べてみたいです。

後藤:そしてサーターアンダギーが大好きです。お砂糖は控えていますが、沖縄に来たのでサーターアンダーギーは特別。

瑚々:スイーツが似合います。黒糖味はヘルシーじゃないですか。

後藤:なるほど! 白いプレーン味ばかり食べていたので、黒い方を選びます。

―瑚々さんの沖縄の思い出は?

瑚々:2022年に「ミスマガジン」グランプリをいただいて、グラビア撮影で来る機会が増えました。海には入らないようにと言われても入りたくなります。禁止されても「もうつかちゃった」ってこともありました(笑)。撮影だと1泊2日が多いので、個人的にもっと長い時間ゆっくりと滞在したいです。住宅街を散歩して、きれいだと聞いた石畳を見に行きたいです。サトウキビをかじってみたい、という夢もあるんですよ。

後藤:サトウキビかじりの経験あります! でも僕が食べたのは苦かったんです。かじって食べちゃったんですよ(笑)。普通は汁を飲むんですよね。

瑚々:かじったなんて、強い歯(笑)。苦いのは嫌なので気を付けます、

後藤:食べる時は気を付けて!

瑚々:沖縄は大好きです。嫌いな人はいないと思いますよ。将来住もうと思っているので、移住の計画もしています。

後藤:もうすでに計画? やっぱりいいですよね、沖縄は。海があって最高なので、僕も住んでみたいです。そのためにも、今は東京で役者の仕事頑張ります!

瑚々:そのためにだなんて(笑)! 心が穏やかになる沖縄、私はいつか住みますよ。

―最後に、目標を教えてください。

後藤:活動の中心が舞台でしたが、テレビは「仮面ライダーギーツ」にナッジスパロウ役として出演、映画はこの「絵掻きうた」に主演させていただき、もっとスキルを磨こうと考えているところです。映画が大好きなのがこの業界に入ったきっかけですし、今後はもっと映像の方に出演していきたい。そして絵も同じくらい大事なので、腕を磨いていきたいです。アクリル絵の具とエアブラシで絵を描いていて、世界に向けて発信できるような人間になりたいです。作品はInstagramにアップしていますのでチェックいただけたらうれしいです。

瑚々:モデルになりたくて小さなころに入った業界ですが、演技レッスンを受けてお芝居も両立したいと考えるようになりました。しっかり両立し、みなさんに認めてもらえるような俳優さんになりたいです。いろんな役にチャレンジしますので、応援お願いいたします。

「ハイサイ気分」
ようこそ沖縄へ! 本土から来沖する有名人を歓迎する、連載インタビュー。近況や楽しいエピソード、沖縄への思いなどを語っていただきます。

◆インフォメーション◆

◆ショートムービープロジェクト 【嘘の起源】
 『絵掻きうた/ホワイト ライ』

(C)嘘の起源製作委員会

「hulu」にて配信中! ぜひご覧ください。
 

◆ 『絵掻きうた』

https://hulu.jp/ekaki-uta

2023年/日本
監督:杉岡知哉
出演:後藤 大、岡野海斗、秦健豪、古賀成美
 

◆『ホワイト ライ』

https://hulu.jp/white-lie-movie

2023年/日本
監督:谷口雄哉
出演:瑚々、田口愛佳、安井謙太郎、川田広樹

公式サイト https://usonokigen.wixsite.com/my-site
公式ツイッター https://twitter.com/usonokigen

饒波貴子(のは・たかこ)
那覇市出身・在住のフリーライター。学校卒業後OL生活を続けていたが2005年、子どものころから親しんでいた中華芸能関連の記事執筆の依頼を機に、ライターに転身。週刊レキオ編集室勤務などを経て、現在はエンタメ専門ライターを目指し修行中。ライブで見るお笑い・演劇・音楽の楽しさを、多くの人に紹介したい。