男を磨き印象アップ メンズ向けエステ・スパ


社会
男を磨き印象アップ メンズ向けエステ・スパ
この記事を書いた人 座波 幸代
アロマオイルで全身をマッサージする「ザ・リッツ・カールトンスパ by ESPA」セラピストの登坂由美さん=名護市喜瀬

 最近、コンビニや書店、飲食店で、男性向けに「スパ」や「サロン」を紹介する雑誌を目にする機会が増えている。実際、街中を走ると女性の代名詞だったエステやサロンでも男性向けにサービスを始めた店を多く見掛ける。みずみずしい肌につやのある髪、漂う清潔感。日頃ストレスや疲れをため込んでいる男性諸君。この機会に“男子力”に磨きをかけてはいかが。

■人気のひげ脱毛

 「1年ほど前から脱毛に興味を持つ男性が増えている」。そう語るのは昨年末に那覇市首里石嶺町に男性専用の除毛・減毛サロン「Dstyle(ディースタイル)」を開業した松川尚也さん。完全予約制の同店には多い日で10人を超える客が来店。年代は10代から40代と幅広く、職種もさまざまだ。一番人気の部位は「口回り」。松川さんは「ひげがNGな職場の人が多く、男性特有のひげそりが面倒との理由で来店する人も多い」と語る。

 昨年10月に創刊された男性向け雑誌「インプレッション」。県内にある男性向けの脱毛サロンやヘッドスパ店などが紹介されており、表紙を見ると、真っ先に「沖縄の男が予約できるサロン~デキル男は密かに通っている」とのフレーズが飛び込んでくる。発行元のマリースタイルの真喜志静香さんは「数年ほど前から男性の美意識は高まっている」と断言する。ただ、「美意識と言っても、女性のように着飾るわけではなく、清潔感を出し、『印象を良くしたい』人が通うケースが多い」とのこと。正確な統計データはないが、男性向け脱毛サロンはわずか数年で数十店舗誕生した。

光を照射し腕の毛を脱毛するディースタイルの松川尚也さん=那覇市首里石嶺町

■心と体リラックス

 深緑の木々に囲まれ、柔らかな木漏れ日が差し込むザ・リッツ・カールトン沖縄(名護市)の「ザ・リッツ・カールトンスパ by ESPA」は2012年の開業当初からスパ施設内に男性専用室を設けている。主な客層は夫婦やカップル、女性友達だが、中には父と息子の2人で訪れることもある。マネジャーの山本桂子さんは「美意識よりも『健康志向』の高まりから男性の需要が増えている。リピーターも多く、1人で来る男性も多い」と語る。非日常的空間で味わう、日本一にも輝いたことがある「スペシャルトリートメント」は心と体をリラックスさせる。

県内でも珍しいドライヘッドスパを受ける男性客。オイルなどを使わないため、ヘアスタイルを気にせず仕事に戻ることも可能だ=那覇市天久

■仕事帰りに癒やし

 那覇市天久にある「アロマ&マッサージ サクラ」は県内でも数少ないドライヘッドスパ専門店だ。開業当時は女性客が多かったが、今では訪れる客の約7割は男性で、仕事帰りに癒やしを求めてやってくるサラリーマンが多い。ドライヘッドスパ協会の認定インストラクターでもある山川綾野さんが繰り出す手技はわずか6ミリしかない頭皮の筋膜を捉え、極上の眠りにいざなう。オーナーの當間正一さんは「15分の睡眠で8時間睡眠の効果がある。東京では、予約が2カ月待ちの状態だ」と語る。

 県内の観光ホテルで「リゾート&スパ」と冠が付くホテルが常識となる中、男性の需要は高まっている。観光客のニーズをつかみ、1000万人の観光客を呼び込むには男性向けスパの充実が必要かもしれない。

文・吉田健一 写真・又吉康秀、屋嘉部長将

(2016年6月21日 琉球新報掲載)