ハスとスイレンの違い 沖縄の植物漫歩(7)


ハスとスイレンの違い 沖縄の植物漫歩(7)
この記事を書いた人 Avatar photo 玉城江梨子

 「育ててみたいけど、うちには池どころか庭もない。大きな水鉢を置くスペースもないから」という方にお薦めなのが“茶碗ハス”です。バケツ程度の容器で十分。育て方によっては、まさに“茶わん”ほどの容器でも育てることができます。

 ハスを紹介した当初、「うちにもハスがある。青い花ですよ」という方がいて、「それはスイレンですね」と返すと「ハスとスイレンは違うの?」というやり取りが何度もありました。そこで、ハスとスイレンの違いをご紹介します。

小さな器でも育つ〃茶碗ハス〃

 まず、葉が水面に浮かんで、撥水(はっすい)性のないものがスイレン。ハスは、水面から立ち上がって丸い葉を広げます。そして、葉の上でコロコロと水玉をはじくのがハスです。また、ハスの花がらは“ハチス(蜂巣(はちす))”として生け花などに重宝されます。花は早朝から開いて昼ごろにはつぼみます。そして3日後には散ってしまいます。

 行楽地などへ見に行くには早朝からのお出掛けが必要ですね。ですが自宅であれば程よい時間に美しい花を観賞することができます。早起きの楽しみも増えます。お薦めは一番形よく開く2日目です。朝露をはじきながら開くハスの趣はまた格別です。育成は、種から育てる方法と、レンコンを植え付ける方法があります。種からの場合、開花まで2~3年かかるといわれますが、“中国茶碗ハス”のように、同年で開花まで楽しめる品種もあります。地下茎(レンコン)の生育は旺盛なので、翌年からは植え替えも必要です。少々手間暇はかかりますが、スイレンとは全く違う“趣”を鑑賞してみてはいかがでしょうか。

 (NPO法人沖縄有用植物研究会 伊野波盛哉)

 (2014年11月27日付琉球新報掲載)