ムーチー(鬼餅)と女子力の不思議な関係【沖縄たべものがたり】(vol.4)

  • 沖縄県全体
このエントリーをはてなブックマークに追加

沖縄の伝統的なおやつ「鬼餅(ムーチー)」。
昔はもち粉ではなく、高キビ(モロコシ)粉で作られていました。


在来の高キビ


高キビと紅芋を混ぜて作ったムーチー。色も美しく、味も抜群!


かつては沖縄のどの島でも高キビは栽培されていたので、

  • 沖縄本島ではトーナチン
  • 粟国ではトージン
  • 波照間ではヤタプー

など、島ごとにさまざまな呼び名があります。

先日、粟国島のおばあちゃんから高キビにまつわる黄金(くがに)言葉を教えてもらいました。

「タヤトージン ミーイラバ クビホーリ(垂れる高キビ 実が入ったら 首を下げる)」。

どこかで聞いたことがありますよね?

そう、これは「実るほど頭を垂れる稲穂かな」と同じ意味で使われている格言でした。

そのおばあちゃんは子どもの頃、お母さんから繰り返しこの言葉を言われていたそうで、「だから私は人に対して偉そうにはしないよ〜」と言っていました。そして、「昔は粟もトージンもいっぱい作っていたよ。トージン餅は美味しかった」と懐かしそうに語ってくれました。

粟国島は今はモチキビの産地。粟も高キビも復活するといいなぁ〜。


石垣島で6年ぶりに行われた「いしゃなぎら詰願祭」。供物の中に高キビの姿が。(写真提供 写真家・中西康治氏) 


京都の老舗和菓子屋さんでも


中国を代表する映画監督チャン・イーモウ監督作「紅いコーリャン」

さて、そんな格言を持つ高キビ。中国ではコーリャンと呼ばれていますね。
コン・リー主演の「紅いコーリャン」という映画には真っ赤なコーリャン酒なるものが登場しますが、京都の老舗の和菓子屋さん「中村軒」では高キビのもみ殻を使ってもち米を赤く染め、赤飯を作っているんだそうです。


他に、もみ殻を使った「高キビ染め」なるものもあって、写真で見たらとっても美しいピンク色に染まっていました。身に着けると女子力上がりそう〜♡

実際、高キビは女子力と関係しているかもしれません。と言うのも、高キビを使って作る鬼ムーチー、その由来となる「鬼餅伝説」はまさに〝女力で鬼退治〟という内容だからです。


女性のパワーで鬼退治

鬼餅伝説をかいつまんでお話ししましょう。
首里の金城村に兄妹が住んでいました。しばらくすると兄が南城市大里に引っ越し、人を殺してその肉を食らっていると噂が広まります。気になった妹は兄の様子を見に家を訪ねます。

すると「大里鬼」の噂通り、家の中では人肉が煮えているではないですか!自分も殺されるかもしれないと恐怖に感じた妹は、必死で金城村へ逃げ帰ります。そんな妹を逃がすまじと追いかけてきた兄。妹は鬼と化した兄を退治するため、彼を崖の上に座らせ、鉄入りの餅を与えます。

硬くて歯が立たない鉄入り餅と格闘している兄に向かって妹は「私の体には口が二つある。下の口は鬼を食い、上の口は餅を食う」と言って大股を開き、下の口を見せました。下の口に驚いた兄は崖から転げ落ち、死んでしまいましたとさ。


首里金城町にある鬼餅伝説の場所「内金城御嶽」。別名「ホーハイ御嶽」。ホーとは女性の性器(ホト)のこと。





王朝時代はこの地で「稲穂祭・稲大祭」が行われていたそうです。

女の下の口を見せて…というのは言い換えれば、女性の性(聖)なるエネルギーが、悪を退治するパワーを持っていることを表しているように思えませんか? しかもムーチーは生理を思わせる赤い色の高キビからできていて、その餅が鬼退治に使われたというのも示唆に富んでいますよね。


「赤椀の世直し」で考えた



神歌や神話からの謎解き考古学「赤椀の世直し」。

そんな視点で鬼餅伝説にフォーカスしていたら、本棚に大事にしまってあった名護博先生の著書「赤椀の世直し」の中に、鬼餅伝説のことが思いがけない解釈で読み解かれているのを発見し、驚きました。



「赤椀の世直し」にはこんなふうに書かれています。鬼餅伝説のようなホト伝説・神話は日本全国にあり、その中で最も有名なのがイザナギイザナミの神話。イザナミは火の神・カグツチを生んでホトを焼かれ、病になり死んで鬼神になってしまいます。

で、ここからが名護先生による独自の解釈なのですが、イザナミのホトはカグツチという戦争につながる金属文明の神を生んでしまった。一方で、鬼餅伝説の妹のホトは鬼神=悪しき金属文明を成敗するものとして描かれている。

これは何を言いたいかと言うと、イザナギイザナミ神話は日本列島に金属文明が登場し、その結果、人間同士が殺し合う戦乱の世に変じて行った原因を説明する神話であるのに対し、鬼餅伝説はそれを克服していった過程とその思想を説明する神話であるというのです。

加えて、古代、溶鉱炉はホトと言われていたそうで、鬼餅伝説が言わんとしているのは、女性のホト(子宮)が燃え盛れば、武器を溶かして農具や楽器へと再生し、平和世へと導くことができる。女性がこのことに気づき、本来のパワーに目覚めることこそが平和世への近道であると。

名護先生のこの解釈は妙に納得できるし、感動的です。
これにビビビッと来た女性の皆さん、共に平和のために燃え上がりましょう!

高キビムーチー作りませんか?

さて、鬼ムーチーは旧暦12月8日、来年1月24日ですね。
この日、西原町にある呉屋エイ子さんの高キビ畑で、ムーチー作りをしようと計画しています。鬼ムーチーで女子力UP!しませんか?
詳細はFacebookの「沖縄雑穀生産者組合」のページでお知らせします。
ぜひ、チェックして下さい。

そしてもう一つインフォメーションがあります!

12月2日はまーさんマルシェ!

12月2日(土)、デパートリウボウ前のパレットくもじ広場にて、再びオーガニック大市「まーさんマルシェ」が開催されます。

遺伝子組み換えなし、化学調味料なし!安全な食べものと新鮮な県産無農薬野菜、手作り雑貨の販売の他、ライブやダンス・パフォーマンスなどお楽しみ満載。


9月のまーさんマルシェ。盛り上がりました!

そして子どもの居場所「にじの森文庫」と「ほのぼのヒロバ」(共に那覇市)から、
「食べ盛りの子どもたちのおやつにおむすびを!」
との呼び掛けがあり、会場でお米1合の寄付も募っています。

当日、ご自宅からお米をもって来ていただけるとありがたいです。

まーさんマルシェでは安心安全な食べものを食べるだけでなく、おいしい元気の輪をひろげてゆきたいと思っています。
 


居場所がある、あったかいご飯がある、それが子どもたちを元気にします。

それから沖縄雑穀生産者組合のブースでは県産オーガニック高キビや五穀ブレンド、五穀ポンセン、雑穀弁当などを販売します。ぜひいらしてくださいね。私も売り子をしていますよ〜。

まーさんマルシェは12月2日(土)11:00〜20:00。
出店者さんの情報やライブ・スケジュール、詳しい内容についてはFacebook「まーさんマルシェ」のページをご覧ください。

 



中曽根直子(なかそねなおこ) 穀菜食研究家/沖縄雑穀生産者組合 組合長

那覇に「浮島ガーデン」、2016年、京都に「浮島ガーデン京都」をオープン。沖縄の在来雑穀の復活と種の保存、生産拡大のため沖縄雑穀生産者組合を立ち上げる。農業イベントや料理教室、食の映画祭や加工食品のプロデュースなど様々な活動を通して、沖縄の長寿復活に全力投球中。
 




前の記事沖縄で大きなお風呂に入れるお得情...
次の記事結フェスタで子育て応援♪ まげひ...