「過激な言動」に振り回されない。 モバプリの知っ得![39]


この記事を書いた人 稲嶺 盛裕

動画サイト「YouTube」に動画を投稿する、YouTuber(ユーチューバー)の過激な動画が問題になっています。

1月1日、アメリカの人気YouTuberローガン・ポール氏は、山梨県の青木ヶ原の樹海で自殺した遺体を写し、冗談を口走る動画を投稿。
世界中から避難が集まり、大問題となりました。

またアメリカの人気YouTuberコンビ、ニックアンドダンは沖縄の街中でいたずらする動画を昨年9月に投稿。その中には母親と歩く女の子を、抱きかかえて連れ去る様子も映されており、問題になっています。

こうしたYouTubeへ過激な動画を投稿する事件はアメリカに限った話ではなく、世界中で起こっています。

日本でも「コンビニのおでんに指を入れる(16年12月)」「運送会社でチェーンソーを振り回す(17年1月)」「覚醒剤に見える白い粉を警察官の前でわざと落とす(17年9月)」などとして、逮捕される人が出てきてます。

 

なぜ過激になるのか?その理由は…

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

なぜ、過激な動画は投稿されるのでしょうか。
理由の一つに、手っ取り早く目立てるということが挙げられます。

YouTubeをはじめSNSなどが発達した現代、それらを上手に活用すると個人でもファンを獲得し、有名になることができます。
こうした影響力はYouTubeの「チャンネル登録者数」、SNSの「フォロワー数」、あるいは動画の「再生回数」などの数字で、一部可視化することができます。

ただし、誰でもYouTubeやSNSを始めることができる時代。はじめたからすぐに有名になれるわけではありません。
「もともとの専門分野で著名」「ものスゴイ才能を持っている」などであれば別ですが、普通の人がネットで有名になるためには、コツコツと活動を続け、少しずつファンを獲得し、時間をかける必要があるのです。

そうした道を通らず、手っ取り早く目立ち、有名になる手法の一つが「過激な言動」です。

ネットで過激な発言をする、過激な動画を投稿する。
こうしたことを繰り返すと、人が集まってきて、数字が伸びます。
「目立ちたい気持ち」と、「自分の実力」が釣り合わない人は、その差を埋めるために、過激な言動に走るのです。

またYouTubeをはじめ、Webサイトには企業のCM・広告を掲載することが可能です。これは再生回数や閲覧回数に応じて、広告料がもらえる仕組みです。

YouTubeの動画も再生回数が増えると、もらえるお金も増える。
過激な動画は、手っ取り早くお金を稼ぐこともできるのです。
 

注目されるGoogleとローガン・ポール氏の対応

ローガン・ポール氏の動画は世界中から非難が殺到しました。
YouTubeを運営しているGoogleはこれをうけ、ローガン・ポール氏の動画への広告の配信をストップし、お金が入るのを止めました。
また2月20日からは広告料が支払われる基準を厳しくし、安易なお金目的の動画を排除する動きに出ています。

こうした対応だけで過激な動画投稿がすぐにゼロになるわけではないでしょう。
しかし、Googleや広告主がこうした動画に対し「ノー」の姿勢を見せることは大事です。今後も、過激な動画に対してどう対処していくのか、注目が集まっています。

またローガン・ポール氏は、24日に自殺防止の啓発動画を投稿。さらに自殺を防止する団体へ100万ドルの寄付も表明。今後も自殺防止に向けて活動を続けることも宣言しています。
問題のある動画を撮影したものの、ローガン・ポール氏はファンも多く、影響力があります。こうした人が過ちを認め、反省して社会に貢献する活動をすることは、長期的には社会にとってプラスになるのかもしれません。

 

過激な投稿にノーを

「内容はともかく、数字が上がれば目立つ・儲かる」これがエスカレートするとどうなるでしょう。

インターネットで、差別的で人を傷つける言動がはびこることになるでしょう(もうその兆候はありますが)

こうした問題に無関心な方も、いつか自分や周りの大切な人たちに矛先が向か可能性があることを意識しないといけません。

今回のGoogleの対応で、長期的に見ると過激な動画は減るかもしれません。

あわせて、私たちも「過激な言動にノー」の態度を示す必要があるでしょう。
そして手軽に情報が発信できるネットがゆえ、油断すると自分が過激な言動で、人を傷つけたり、迷惑をかけることがでてくるかもしれません。

そうならないためにも、「何をしたらいけないのか」を強く考えないといけない時代ともいえます。
 

 

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」1月28日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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