「海賊サイトを使うのはダサい」 モバプリの知っ得![43]


この記事を書いた人 稲嶺 盛裕

漫画や雑誌を著作者に無断で掲載し、誰でも無料に読むことができる海賊サイトが問題になっています。

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

「無料で最新の漫画・雑誌が読める」と聞くと、喜ばしいことのように感じるかもしれません。

しかしながら著作・製作者にしっかりとお金が支払われないと、次の作品を作ることができなくなります。海賊サイトが流行することは、終わりの始まりなのです。

何もこうした問題は漫画・雑誌だけではありません。
音楽や、映像も著作者が認めていない方法でダウンロードを行うと、製作者にお金が支払われず、文化が衰退します。

「自分が良ければいい」といった事ではなく、法律やルールをしっかりと理解した上で、楽しむ必要があります。
 

「見る」だけでもダメという自覚

改めて確認してみましょう。
漫画・雑誌・書籍・映画・ドラマ・音楽などをコンテンツと呼びます。

コンテンツには制作に携わった「著作者」が存在します。
雑誌であれば出版社、漫画であれば漫画家、音楽であれば曲を作ったアーティスト、レコード会社などです。

本来は著作者が計画を立てた上で、コンテンツを取り扱います。
「漫画を電子書籍の形式で販売する」「宣伝も兼ねてミュージックビデオをYouTubeにアップする」など、方法はさまざまです。

著作者が意図する形で掲載されているのであれば、無料であっても問題はありません。
しかしながら、現在問題になっている「海賊サイト」では著作者に無断で、漫画・雑誌を掲載しています。
海賊サイトは他人の財産を勝手に公開するばかりか、サイト内に広告を貼り付け、自分らは儲ける算段。月まで届く「面の皮の厚さ」です。

本来、コンテンツを著作者に許可なくネットに公開することは違法です。
しかしながら海賊サイトは海外のサーバーを使うことで、特定されにくい仕組みを使っています。
そのため、著作者が「泣き寝入り」をしているのが現状です。

こうした違法状態の海賊サイトを閲覧した人も違法になるのでしょうか。

 

実は「違法にならない」が答えです。

  漫画 音楽・映像
無断アップロード 違法(親告罪) 違法(親告罪)
画面表示・ストリーミング 違法にならない 違法にならない
ダウンロード 違法にならない 違法(親告罪)

「STOP!違法ダウンロード広報委員会」

 

ただし「違法にならない」で終わる問題ではありません。
そもそも、違法に公開されたコンテンツですので「法律ではセーフ」でも「モラルとして不適切」という感覚を持つ必要があります。

また、漫画・雑誌だけに限らず、音楽や映像も同様です。
著作者に無断でアップロードされた音楽や映像がYouTubeに多く投稿されていますが、見ただけであれば違法ではありません。しかしながら、モラルで考え、なるべくそうした動画を見ないようにする必要があります。

さらに、YouTubeの動画・音楽をダウンロードし、スマホに取り込むことができるアプリがあります。コンテンツが違法にアップロードされたと知りながら、こうしたアプリを使ってダウンロードすることは違法です。明確にアウトですので、ダウンロードは絶対にやめましょう。
 

違法ダウンロードした人が逮捕されない理由

違法にアップロードされたと知った上でYouTubeから動画・音楽をダウンロードすることは犯罪です。しかしながら「ダウンロードをして逮捕された」というニュースを聞いたことないと思います。

それは、違法ダウンロードが「親告罪」になっているからです。

親告罪とは、被害者の届け出が必要な犯罪。
つまり、違法ダウンロードの場合は著作者のアーティストやレコード会社などが直接訴えなければいけないのです。

著作者も暇ではありません。
ダウンロードした人を特定し、違法にアップロードされた認識があったか確認した上で、訴えを起こすのは果てしない作業です。
こうした「ダウンロードの手軽さ」と「訴えの面倒くささ」のバランスで、著作者が泣き寝入りしているのが現状です。

「違法ではないから」「逮捕されないから」と、軽い気持ちで違法にアップロードされたコンテンツを楽しむことは、前述したように文化の衰退につながります。

きれいごとを言っているように聞こえるかもしれません。
しかし、海賊サイト、YouTube動画のダウンロードの問題点を言い続けなければ、「無料」の手軽さに流れ、どんどんと利用者が増えていきます。

私たちが楽しめるコンテンツがこれからも作られ続けるよう、海賊サイトは絶対に使わない。
「海賊サイトを使うのはダサい」そうした風潮を広めていかなければいけません。

 

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」2月25日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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