遺産分割を放置していると思わぬ落とし穴が!【沖縄の相続】暮らしに役立つ弁護士トーク(18)

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“沖縄の相続問題”のエキスパート・尾辻克敏弁護士の事務所に、垣花さんが相談に訪れました。垣花さんの実家と実家の隣のアパートは、30数年前に亡くなったお父さま名義のままだったそうです。垣花さんは近く実家を売却したいようです。



垣花さんは、現在は誰も住んでいない実家を売却しようと考えています。ただ、お父さまが亡くなった30数年前に遺産分割をしていなかったため、実家と実家の隣にあるアパートは父名義のままでした。父の相続人は、兄の一郎さん、垣花さん、弟の三郎さんの3人でしたが、父の死後およそ10年後に兄の一郎さんは亡くなっています。このようなケースの場合、どうやって実家を売却したらいいのでしょうか。



放置していると複雑化する!

遺産分割はいつまでにしなければならないという期限はありません。

◇参考記事:トラブルに遭うのはどんな人? 【沖縄の相続】暮らしに役立つ弁護士トーク(1)
(https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-479662.html)

垣花さんのケースのように、何年も数十年も遺産分割がされていないケースもよくあります。ただ、遺産分割をせずに放置しておくと、やっかいな問題が生じます。

垣花さんのケースでは、父親の死亡した当時、父親の相続人は、長男一郎さん、次男垣花さん、三男三郎さんで、それぞれ3分の1ずつ法定相続分があり、実家とアパートは3人の共有でした。

しかし、遺産分割を放置したまま、長い年月この状態のままにしておくと、長男一郎さんのように相続人が亡くなることもあります。そうすると、長男一郎さんの相続人が法定相続分に従って、実家とアパートを共有することになります。このことを、数次相続といいます。長男一郎さんの相続人が一人であれば、それ程複雑にはならないかもしれませんが、長男一郎さんに子どもが数人いるとなると、その分相続人も増えることになります。子どもの中にも先に亡くなっている人がいると、さらに長男一郎さんの子どもの相続人が相続分に従って、実家とアパートを共有することになり、次第に複雑になっていきます。

このような段階になって遺産分割協議をするとなると、誰が相続人であるのかを把握するだけでも、戸籍をたどらなければならず一苦労です。

また、世代が変わると、相続人間において交流や面識がないケースもあります。各相続人で考え方に大きな違いがあり、話し合いが円滑にまとまらないこともあります。中には海外で生活している人や、行方の分からない人がいると、遺産分割協議を進めるのに相当手間がかかるでしょう。

垣花さんのケースでは、垣花さんは実家を売却したいと考えていますが、世代が異なる複数の相続人がいる中、全員が「売却したい」という方針でまとまるのか見通しが付かないこともあります。


遺産分割はできるだけ早めに、世代が変わる前に解決しましょう!


上記の事態を避けるためにも、相続が発生した場合にはできるだけ放置せず、相続人間でできるだけ早めに遺産分割協議を進めましょう。

身内の問題を裁判所に持ち込むのは抵抗感があるといった心情も分かりますが、遺産分割協議で話がつかない場合には遺産分割調停を利用して、世代が変わる前に、ご自身の世代で遺産分割に決着をつけておくのがお勧めです。

相談者の中には実際、「自分の世代で遺産の問題を解決して、次の世代には問題を残したくない」とおっしゃる方も多くいます。
 


放置しておくと、アパートの賃料は時効になるなんて・・・


相続財産のアパートについては、アパートの賃料は相続財産には含まれません。アパートの賃料は、相続人が法定相続分に応じて、それぞれ取得することになります。

例えば、三男三郎さんがアパートを管理し、賃料を受け取っていた場合、垣花さんは三郎さんに、賃料の3分の1を支払うよう請求することができます。しかし、この請求権は実務上、不当利得返還請求権といって、発生してから10年間で「消滅時効」になります。そのため、垣花さんは三男三郎さんから「消滅時効」を主張されてしまうと、請求した時から10年分の賃料しか払ってもらえなくなります。



― 執筆者プロフィール ―


弁護士 尾辻克敏(おつじ・かつとし)

中央大学法学部、中央大学大学院法務研究科卒業。司法試験合格後、県内にて1年間の司法修習を経て、弁護士業務を開始。常に相談者の話を丁寧にお聞きし、きめ細やかな法的サービスを的確かつ迅速に提供し、全ての案件に誠心誠意取り組んでいる。

相続問題・交通事故、企業法務等を中心に取り扱う。相続問題では、沖縄の風習や慣習、親族関係にも考慮した適切な解決を心がける。



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島袋法律事務所 弁護士 尾辻克敏
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(毎月第3水曜日掲載)


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