沖縄の“お笑い3大事務所”FEC・オリジン・よしもと沖縄を解体してみた ◇沖縄芸人ナビFILE.1

  • 沖縄県全体
このエントリーをはてなブックマークに追加

沖縄のお笑い界を芸人視点で紹介する新連載。ツッコミあり笑いありで、楽しく詳しく案内していただきましょう。ナビゲーターはこの方です!


ナビ芸人は松田正さん。お笑いトリオ「初恋クロマニヨン」の一員として活躍中です

みなさん、はじめまして! 「沖縄芸人ナビ」のナビゲーターに任命された松田正(まつだ しょう)です。僕は「初恋クロマニヨン」(よしもとエンタテインメント沖縄所属)というトリオでお笑いをやっていますが、芸人でありながら誰よりも芸人さんをリスペクトしています。このコーナーでは、沖縄で活躍する(&活躍しそうな&活躍してほしい)芸人さんを紹介していきます!

記念すべき第1回! まずは沖縄のお笑い界をざっくり理解していただくために、沖縄を代表する“お笑い3大事務所”「演芸集団FEC」「オリジン・コーポレーション」「よしもとエンタテインメント沖縄」を一挙リポート! 最後には、お笑いライブを楽しめる要チェックスポットをご紹介します!(←コレめっちゃ便利なので保存版です!!)

 



祝!旗揚げ25周年演芸集団FEC
http://www.fec.okinawa/




団長の仲座健太さん(左)と、松田ナビ


社長が事務所のシンボル


最初に訪ねたのは、1993年に旗揚げして、ことし結成25周年を迎える「演芸集団FEC」の団長・仲座健太(なかざ けんた)さんを直撃しました!仲座さんは「ハンサム」というコンビでも活躍中で、実は僕たちの大先輩! 初恋クロマニヨンはFECに所属していた時期があるんです。そのころ「教育係」をやっていただき、生意気だった僕はよく怒られていましたね〜。

松田ナビ:仲座先輩、あらためて、FECの特徴や自慢を教えてください。

仲座:事務所自慢をさせてもらうと、社長の山城智二が芸人なのでとっても楽。面白いことをやりたくても採算が取れるのか検討するのが会社ですが、智二さんはまず笑うんだよね(笑)。もちろん冷静な判断はしてくれるけど、面白いかどうかで考えるので、で〜じありがたい訳さ。11月4日の25周年記念公演は、会場が宜野湾海浜公園野外劇場でなんと入場無料! 「とにかくみんなをビックリさせよう」という思いで計画を始めました。

松田ナビ:智二さんの反応、想像できます。普通は入場者数を気にしますが、智二さんは「もしスカスカでも面白いやっし。それをいじればいい」って思いそう。確か沖縄セルラースタジアム公演もやっていましたよね。

仲座:そう5年前。20周年の時で大赤字だったけど、反省を忘れてまた同じようにやる訳さ(笑)。社長が芸人の肌感覚で面白いことを後押ししてくれるので、FECで良かったって思うかな(笑)。でも基本はダメ人間(笑)。だからこそ、良いところも悪いところも全部許容して認めてくれるというか…笑ってくれるから、ありがたいです。

松田ナビ:社長という肩書きを武器にしている感じもありますよね!? ロケで智二さんが一番無茶して面白かったのを見ました。「トップがこんなおバカなことやりよる」っていうフリが効いてすごい!

仲座:「そのフリは武器として使える」って思ったのかもしれない。芸人がトイレの個室に入るの見つけたら、智二さんは上から水をかけてケタケタ笑っています(笑)。神社に安全祈願に行ったら最初に転ぶし(笑)。

松田ナビ:FECを語る上で大切なエピソードですよね。僕はもうFEC団員ではありませんが、智二さんも仲座さんもいまだに僕を後輩として扱ってくれるのがありがたいです。

仲座:お笑いの世界で一番大事なのは辞めないこと。面白くなくても居続けられます。売れるかどうかは別ですが、辞めなければチャンスが来るかもしれない。続けることが一番大変で大事な才能。続けてほしいから後輩を応援します。



「若手」「ベテラン」の定期ライブ&「お笑い米軍基地」

松田ナビ:新しい感覚を持った若手が増えてきています。僕らはテレビに出たいっていう理由でお笑い界に入りましたが、今はYouTubeなどもお笑いへの入口の1つです。彼らをどう思っていますか?

仲座:10年前だったら許容できなかったかも(笑)。でも今はとっても頼もしい。本気で世界を見据えている子もいてすごいと思うし応援したい。最近は護得久栄昇(ごえく えいしょう)先生が人気で、僕はマネージャー役としていろんなところに出させてもらっています。これまでのお笑いなら「ネタを数本やって盛り上げる構成で漫才かコント」と考えてしまうけど、護得久の場合は、歌の合間のトークやお客さんをステージに上げる方が盛り上がる。自分の幅の狭さを感じるね。

松田ナビ:めっちゃ分かります〜。ところで事務所主催のライブを2つに分けたとか。

仲座:月に1回、定期ライブを開催してきましたが、30代後半〜40代の芸人が増えてきて、入りたての若手との感覚の違いと経験値による技術の差を感じ、2017年にライブを2つに分けました。30代前半までが中心になる「お笑い劇場」と、奇数月に開催する先輩連中の「笑城〜ワライグスク」です。


若手芸人17組がネタを披露した、FECの「お笑い劇場」

仲座:毎年6月には「お笑い米軍基地」、10月あたりに「旗揚げ周年祭」が決まっているので、定期ライブを分けやすかったのもあります。

松田ナビ:10〜20代のお笑いはレベルが上がっていると感じますし、仲座さんたちは一緒にずっとやってきた信頼関係があるメンバーとやっていますもんね。芸歴で分けるライブは、お互いの良さが出るいい形ですね。



 



観客もファミリーオリジン・コーポレーション
http://origin-oze.com/




事務所のリーダー榎森耕助さん(左)と、松田ナビ


練習を積み重ねて結果を出す!

次に訪ねたのは「オリジン・コーポレーション」さん。1996年に設立され、お笑い芸人部門以外に、タレント部門や劇団O.Z.Eがあるのが特徴です。事務所リーダーで、お笑いコンビ「リップサービス」としても活躍中の榎森耕助(えもり こうすけ)さんを直撃しました。実は僕と榎森は「はちノリ」というユニットでも一緒に活動しています。事務所の枠を越えてコラボできるところも、沖縄のお笑い界の特徴かもしれませんね。

松田ナビ:さっそく事務所自慢からお願いします。

榎森:どこの事務所よりも稽古していると思っています。縦横のつながりがしっかりしていてファミリー感がありますね。

松田ナビ:打ち合わせで時々オリジンさんに来ますが、毎回みんなで稽古している。

榎森:基本的には「毎日集まって稽古しましょう」っていう事務所なんですよ。お互いにネタ見せする場では意見を聞く時間を作るので、いろんな角度からネタを見られます。その積み重ねが各種お笑いレースの受賞につながっているのかもしれません。ライブはじめ月4回必ず出席してもらう日があって、それ以外は稽古です。

松田ナビ:みんなを引っ張る榎森の熱が、とにかくすごい! 賞レースの準備に時間をかけ、「ワラしがみ」というYouTube動画を制作し、トークライブを1人でやって、「お笑い高校総体」の審査もする。すごいとしか言いようがありません。

榎森:奈良県出身でずっと沖縄に居られるかどうか分からない現実があり、やりたいことはフルスイングで全部やっとかんとって思い始めたんです。去年9月にスタートしたYouTubeチャンネル「ワラしがみ」は、登録者数1万人を突破しました。YouTubeを県外の人が見て、ライブに来てくれたり司会のお仕事が入ったり、いい光景が見えるようになってきました。まだこれからですが、全沖縄芸人のチャンネルにできるといいなという思いがあります。

松田ナビ:オリジンさんには、タレント部門や劇団O.Z.E(オゼ)もあります。事務所にお笑い以外の部門があるメリットは?

榎森:劇団O.Z.Eの舞台に出た芸人が一気に力をつけることがあります。逆にデメリットになることもあって、「芸人なのに軸足を役者においとるな」ってヤツが出てきて…(笑)。ま〜いいことですし、相乗効果もあるかもしれないですね。

松田ナビ:若い人材を発掘する「お笑い高校総体」は、どんな風に取り組んでいますか?

榎森:以前は新人発掘オーディションをやっていましたが、僕がリーダーになった7年前に高校生にターゲットを絞ることに決めました。学校には目立ちたがり屋の面白い子がいるから、原石を見つけようって始めたんです。

松田ナビ:今の若い子でお笑いを始めた人たちは洗練されていて、レベルが上がってきていると感じています。

榎森:FECさんの「フレッシュお笑い選手権」は沖縄のお笑い界の登竜門なので、僕らは差別化を図るために高校生ターゲットがいいと思っています。



定期ライブとYouTubeの相乗効果


お馴染みの人気コンビ「こきざみインディアン」も「喜笑転決」に出演

松田ナビ:定期ライブ「喜笑転決」の推しポイントを教えてください。

榎森:チーム感あるライブです。その中にお客さんも入っていただき打ち上げも一緒にやるんですよ。毎月新ネタ披露で内容が変わりますし、若いメンバーが成長していく姿を見て、1回ハマると長く楽しんでくださるんじゃないかな。

松田ナビ:力を入れているYouTubeチャンネル「ワラしがみ」について、詳しく教えてもらえますか?

榎森:ライブは目の前のお客さんを楽しませるために全力を尽くす大切な場所。「ワラしがみ」は僕らの活動を広げるための場所。チャンネル登録者数が数万人になれば宣伝効果があるので、沖縄の全芸人さんを発信する拠点にしたいですね。まだまだですが(笑)。

松田ナビ:そこまで考えているのは榎森らしくて、すごい。

榎森:僕がふんどし姿で海に向かって絶叫する「せやろがいおじさん」シリーズは、AV業界や司法業界でちょっと話題になったので、ぜひ見てください! 「じゅん選手」の動画も人気です。
よしもとさんの沖縄事務所ができた時、僕らは正直終わったって思いました。でも潜在的なお笑いファンがライブに足を運ぶいい循環が生まれている。それぞれが新しいファンを発掘する流れを作るのが次のポイント。最終目的はやっぱり、たくさんのお客さんにライブに来てもらえるようになることです。

松田ナビ:ライブはもちろん大切。そして「いろいろ可能性を広げていかなあかん時代やで!」って榎森が教えてくれました。軸足を数々のアプローチで広げていけますからね。勉強になりました!

 



毎日舞台に立てる劇場もある!よしもと沖縄
http://yoshimoto-entertainment-okinawa.jp/




松田ナビ(右)のインタビューを歓迎した、よしもと沖縄のコンビ「ありんくりん」


養成所で学んで芸人に

最後に訪ねたのは、僕ら「初恋クロマニヨン」も所属する「よしもとエンタテインメント沖縄(以下、よしもと沖縄)」! お笑い&エンタメ界の巨塔・吉本興業が2011年に沖縄に養成所を開設し、2015年にはよしもと沖縄花月を開設。2018年には沖縄国際映画祭も10周年を迎え、エンタメを総合的に学べる「沖縄ラフ&ピース専門学校」も開校するなど、近年の沖縄のエンタメ界を盛り上げ続けています。

松田ナビ:「ありんくりん」のクリスとひがりゅうたの2人に話を聞きます。沖縄色が強いコンビですが、よしもと沖縄の魅力は?

クリス:僕はバイト先でお笑いをやってる人に出会い、芸人になりたいと思ったんです。よしもとの養成所が沖縄にできたというCMを見て「NSC沖縄」に入りました。実はその頃、他の事務所のことはあまり知らなかったんですよ。

りゅうた:俺は他の事務所のことも知っていましたが、クリスの希望に合わせて2013年に養成所の3期生として入りました。本土の構成作家さんにネタ見せができるのは魅力だと思います。

松田ナビ:よしもと芸人はすぐに舞台に立つことができて、制作スタッフもいます。他の事務所では舞台監督や演出などの裏方作業も芸人が持ち回りでやるので、その点は違いますね。常設劇場があり、ブラッシュアップできる環境はとてもいいと僕は思っています。

松田ナビ:普段気をつけていることは?

クリス:出演者みんなでおしゃべりする「くだり」と呼ばれる時間が大事だなって思っています。

松田ナビ:ネタ以外の、平場での団体芸ともいえる時間ですね。

クリス:東京の舞台に立たせてもらった時、意味のないことを突然やってすごくウケたんですよ。そしたら「沖縄の無名のやつが爆笑とった」って、悔しがったみんながガツガツ向かってきました。後から「あんな変なことやるやつは東京にはいないだけだ」って教えられて、あれはラッキーだったんだと気づきましたけどね(笑)。

 



日々のライブと新喜劇で力をつける


よしもと沖縄の全芸人が出演! ネタバトルライブ「よしもと -Uchinah-ランキング」。MCは東京や大阪から来る先輩芸人で、この日はデニス。

松田ナビ:毎日の公演だけじゃなく、企画ライブもありますね。沖縄芸人集合の「よしもと-Uchinah-ランキング」も月1回ありますが、どんな位置付けですか?

りゅうた:デニスさんや、東京や大阪から来る先輩たちがMC役になってくれるのはありがたいですね。

クリス:平日公演のような沖縄芸人の絡みだけじゃないので、すごく鍛えられます。

松田ナビ:2人はランキングライブで連続1位に輝いていますが、こだわりなどありますか?

りゅうた:好きなことを自然にやって、1位になっています。

松田ナビ:それが、ありんくりんのすごいところ! 褒めるのも恥ずかしいですけど(笑)。生まれ育った環境の言葉で、ナチュラルに自分たちを見せるのがりゅうたのモチベーションで、それがお笑いの姿勢になっている。逆に沖縄ネタを外したネタをやることもある?

りゅうた:クリスが外してきたら、合わせるようにします。そういう空気感は大事だと思うし。よしもと沖縄の先輩には地元密着型があまりいないと感じ、チャンスだと思えたんです。なので衣装やネタも沖縄風にして、上まで行ける感触があったんですね。明石家さんまさんの番組にも出られましたし。でもその後が微妙・・・。

松田ナビ:最初に華やかに目立って、そこからのステップを模索している段階ですね。

クリス:「サゴテン団の箱」という企画ライブも、3期生仲間で毎月やっています。みんなで有名になりたいですし、意見交換して一緒に作るライブという感覚でいます。

りゅうた:他にも「G(芸人)RAP韻KAGETSU〜芸人ラップするってよ〜」という音楽系のライブにも出ています。

クリス:企画ライブを幾つもできるのは、常設劇場の良さでありがたいですね。僕は「クリスライブ」という面白いライブもやってますよ(笑)。エンターテイナーを目指す僕が、抱腹絶倒を目指して爆笑を超える笑いをお届けするんです。ものすごくウケた時、声が出せなくなるの分かりますか? その状況になるまで頑張ります。

松田ナビ:主要メンバーとして出演している「おきなわ新喜劇」はどうですか?

りゅうた:大先輩のガレッジセールさんとご一緒して、毎週のようにゴリさんに「ネタ作っておいで。今のままでは東京じゃ生き残れないぞ」と言われてますね。

松田ナビ:舞台でゴリさんと川田さんの背中を見ながら学べるのは、貴重ですね。よしもとは本土の事務所ですから視野を広げられるチャンスもあります。沖縄色のありんくりん、キャラクター生かしてさらに活躍してほしいです!




ナビ芸人:松田の感想

僕の個人的な感想ですが・・・
FECさんは「ザ・芸人」という方たちが集まっているイメージ。
オリジンさんは、ファミリー感があり全体のレベルが高いイメージ。
よしもと沖縄は、劇場があり毎日ネタができる環境が芸人にはありがたい、と勉強になりました。
ありがとうございました。来月もお楽しみに!




☆保存版☆ お笑いライブを見るならここ!


【テンブスホール】
那覇市牧志3-2-10 那覇市ぶんかテンブス館 4階
●FEC「お笑い劇場」=毎月第3土曜日開催
 問い合わせ:098-869-9505(FECオフィス)
●オリジンお笑いライブ「喜笑転決」=毎月第4土曜日開催
 問い合わせ:098-866-6118(オリジン・コーポレーション)




 





【沖縄お笑いスタジオ WaRaBa!】
那覇市樋川2-6-10-2階

●ゲラ×ゲラ ワラワナイト=毎月第2木曜日開催
3事務所の芸人が垣根を超えて集うライブ
http://warawanight.com
問い合わせ:0980-43-5422(オフィスパッション)
●FEC「笑城 WARAI-GUSUKU」=奇数月第2日曜日開催予定
 問い合わせ:098-869-9505(FECオフィス)




 


【よしもと沖縄花月】
那覇市前島3-25-5 とまりんアネックスビル2階
問い合わせ:098-943-6244
365日営業中! 沖縄芸人、東京や大阪で活躍する芸人が毎日舞台に立ってます




執筆:饒波貴子(フリーライター)

饒波貴子(のは・たかこ)
那覇市出身・在住のフリーライター。学校卒業後OL生活を続けていたが2005年、子どものころから親しんでいた中華芸能関連の記事執筆の依頼を機に、ライターに転身。週刊レキオ編集室勤務などを経て、現在はエンタメ専門ライターを目指し修行中。ライブで見るお笑い・演劇・音楽の楽しさを、多くの人に紹介したい。




前の記事4トンのいかりが庭に! 沖縄の“...
次の記事吉澤ひとみ 朝から酒臭かった…1...