一緒に快適な形、築こう! 100cmの視界から―あまはいくまはい―(35)

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かわいい雑貨屋さんにも行きたいし、おいしいイタリアンにも行きたい!でもそういうおしゃれなお店は、階段があったり、狭かったりと、車いすでは行きにくいことが多いのです。諦めるしかないかな、と思いきや、私は抱っこをしてもらってよく行きます。

体重が20キロなので、抱っこをお願いできるというのもありますが、私が育った沖縄の実家は二階建ての二階。エレベーターもないので、毎日階段のある生活をしていました。「私が歩けないのに、どうして階段のある家にしたの?」と親に聞くと「生まれる前に設計したから仕方ないでしょう」と言われるだけ。使いづらいのは嫌ですが、その不便さに慣れてしまい、階段のある場所に行くのがそこまでおっくうではないのです。もちろん手伝ってくれる人は必要なのですが。


スロープがあり、車いすもそのまま乗れる我が家の車

子どもの頃、自分で手すりをつかみながら階段を降り、転んで、骨折することもよくありました。姉が私をおんぶして階段を上っているとき、2人で笑い転げて、落ちて、骨折したこともあります。でもそれも今となっては楽しい思い出のひとつです。

アメリカはハード面のバリアフリーが整っていて、車いすでもすぐに電車やバスに乗れ、車いすごと乗れるタクシーも必ずあります。古い歴史的な建物にもエレベーターがあるのが普通で、移動には困りません。

一方、福祉国家と言われる北欧では、建物は古く階段だらけ、レンガで敷き詰められた道はガタゴトで、車いすでの移動は大変です。デンマークの長距離列車は、48時間前までに予約しないと車いすは乗れません。しかしソフト面が充実していて、障害者はヘルパーを使って生活し、ケガや病気のために家の改造が必要なときは国が保証してくれます。車いすユーザーには無料で車が支給され、ハード面を整えるのではなく、一人一人が生活しやすくなる制度があるのです。

今日本で増えている車いすが乗れるボックス型のタクシーは、車いすが乗れるセッティングをするまでに時間がかかり、ドライバーにとっても、車いすユーザーにとっても不便です。乗車を渋るタクシー会社やドライバーもいるそうです。沖縄では車いすが乗り降りできないバス停がたくさんあることも問題です。

少しの工夫、思いやりで、目の前の不便なことが解決され、楽しい空間に変わるかもしれません。そして制度が整うことも大切です。想像力を豊かにして、自分も、まわりにいるいろいろな人も快適に、楽しく過ごせる形を築いていきましょう!



(次回は11月13日に掲載します)


伊是名夏子

いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。

 

(2018 年10月30日 琉球新報掲載)

 



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