「ゴキブリが最も活発に動き、人間の目につきやすいのは7〜9月。まさに、今が“シーズン真っただ中”です。夏場にクロゴキブリのメスの成虫は、2〜3日に1個のペースで卵(卵鞘)を産み、その中には平均24個の卵が詰まっています。成虫は一生涯で20個ぐらい卵鞘を産むので、メス1匹につき生まれるゴキブリは約500匹。“1匹見たら100匹いると思え”という言葉は、あながちうそではないんです」
そう語るのは、アース製薬研究部生物研究課の有吉立さん。同社で20年以上、約100万匹のゴキブリを飼育・研究しているという。
人間の“天敵”として毎年現れるゴキブリだが、その生態や行動パターンについては、まだまだ知られていないことがたくさん。
そこで、ゴキブリの生態をよく知る有吉さんに、ゴキブリの出現場所・対処法などを教えてもらった。
有吉さんによると、ゴキブリは“おなかと背中にピッタリとくっつく面があるところ”が好きなのだという。
「成虫の場合、大体7ミリメートル〜1センチメートルぐらいの隙間が大好きです。電子レンジや冷蔵庫、本棚などの家電・家具は、下にちょうどゴキブリが好きなスペースが。ここは、ゴキブリが出没しやすいエリアといえますね」
家の狭い場所を見つけてはすみかをつくるゴキブリたちだが、どうやって室内に侵入しているのだろうか。
「排気口や排水口、窓や玄関ドアなど、家の“隙間”から入るというケースが多いです。一般的に家庭に現れるのはクロゴキブリという種類なのですが、彼らは家の中と外を行き来するので、エアコンの室外機や植木鉢の下で発見した場合は、すでに室内にゴキブリが侵入していることを疑ったほうがよいでしょう」
【ゴキブリ“出没危険エリア”&駆除マニュアル】
■玄関
「新聞受けやドア下など、意外と隙間があるのが玄関。小さい幼虫であれば2〜3ミリメートルの隙間を通ることができます。ゴキブリよけなどの忌避剤を設置して、入ってこられない環境を作りましょう」(有吉さん・以下同)
■窓
「コロナ禍のいま、換気している人が多いと思いますが、網戸にするときは注意。ガラス戸と網戸の隙間からゴキブリが侵入してきてしまいます。網戸にするときは、ガラス戸を最後まで開け、隙間を作らないようにすることが大事です」
■家電
「ゴキブリは、暗くて湿度が高いところが好き。さらに、冷蔵庫の下や電子レンジの下の隙間は、ゴキブリにとってとても居心地がよい場所。近くに毒エサを置いて、対策するようにしましょう」
■シンク
「キッチンシンクは湿っぽく、水滴がたまっていることもあります。じつは、水1滴でも、ゴキブリにとっては“ビールジョッキ1杯分”ほどのごちそうです。寝る前に、シンクを拭いて、ゴキブリに水を与えないように心がけること」
今年はコロナの影響により、家で料理する機会も増えたはず。生ゴミの処理を怠ると、ゴキブリがさらに集まる危険性がある。
「生ゴミが出たら、きっちり袋に入れて封をする。三角コーナーの生ゴミも、そのまま放置しておかないこと。スナック菓子などが残ってしまった場合も、密封できる袋や容器に入れたほうがいいですね。そして、ペットを飼っている家は、ペットの食事を出しっぱなしにしないこと。ゴキブリは、ペットフードもよく食べるんです」
家に出るクロゴキブリは、1週間で25メートル移動するという。つまり、どの部屋にも現れる可能性があるのだ。
そのため『ブラックキャップ』(アース製薬)のような毒エサはなるべく多くの場所に置いたほうがよいと有吉さんは語る。
「ピンポイントで置くとすれば、いちばんの潜み場所になりやすいキッチンまわりでしょう。毒エサをシンクの下や、冷蔵庫・電子レンジなどの温かい家電の下に置くことはとても有効です。リビングなどの部屋に毒エサを置く場合は、部屋の四隅に複数配置すること。毒エサは、ゴキブリに食べてもらうことで効果を発揮するものですから、ゴキブリが触れる機会を増やす必要があります」
ゴキブリの害は、見た目の気持ち悪さだけでなく、病原菌を伝播させてしまう点にもある、と有吉さんは語る。
「クロゴキブリは家の中と外を移動していますが、外にいるときには汚れた場所を歩いている。病原菌が体の表面に付いたまま家に入ってくるので、家の中で菌をポロポロと落としてしまうのです。その菌がサルモネラ菌などの場合、食材に付いて私たちが食べてしまうと、食中毒になる恐れがあります。健康のためにもゴキブリ対策は重要なことなのです」
ゴキブリは、百害あって一利なし。有吉さんの解説を参考に、さっそく予防&対策を始めよう。
「女性自身」2020年8月11日号 掲載
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