解熱剤、氷のう…「ワクチン副反応」に医師が実践した対処法


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

政府の集計によると、6月17日の時点で、国内で新型コロナウイルスワクチンの1回目の接種を終えた人が2,000万人を突破。2回目を終えた人は約762万5,000人にのぼった。

これから接種を控えている人にとっての大きな関心事が副反応。そこで今回、本誌では5人の現役医師に、自身の「ワクチン接種後の副反応への対処法」についてコメントを寄せてもらった。

【皮膚科・内科医 友利新先生】

1回目接種後、腕に筋肉痛のような痛み。2回目は接種から12時間後の深夜2時半ごろ、ゾクゾクと悪寒が。翌朝、だるさと倦怠感、37.4度の発熱、頭痛、腕の痛みが。

2回目接種の翌朝、頭痛を感じた時点と夕方に解熱鎮痛剤「カロナール」を服用。解熱剤の「イブ」「ロキソニン」でもよいと思う。接種翌日は家事も休み、食事もデリバリーを取るなどして体を休めた。接種後は料理や掃除などしなくていいように準備をしておくと安心。

【内科医 順天堂大学医学部教授 小林弘幸先生】

1回目接種後の深夜にせき、声のかすれがあった程度。2回目接種日の夜中3時(接種後12時間)に震えが止まらず、悪寒が走り目が覚める。

2回目接種の朝、あらかじめ解熱剤「カロナール」を服用。ただ、熱に関しては「カロナール」を飲まなくてもそれほど出なかったのではないかと思う。副反応は、免疫反応がしっかり働いているから起こる症状。冷静に捉えることが大事。

■氷のうやアイスバッグを活用

【内科医(池袋大谷クリニック院長)大谷義夫先生】

1回目は接種した左腕が痛み、痛みは翌日がピーク。2回目は接種当日の夜から37.4度の発熱。接種後36時間ほどで改善。

2回目接種の翌日は、できれば大切な仕事は入れないほうが安心。副反応はつらくなってから解熱鎮痛剤を内服することでも間に合うと思う。マイルドな「カロナール」をおすすめしたい。また接種を受ける際には半袖で腕を出しやすい服装で臨むことと、どんな副反応が出るかを把握しておくとよい。

【医師・医療ジャーナリスト 森田豊先生】

1回目接種の夜中、腕が腫れて熱くなり、筋肉痛のような痛みが。2回目は接種後15分で、体がホットフラッシュのようにポカポカしたが、ほかに症状はない。3時間後、腕に強い痛みが出て、肩より上に上がらなくなった。翌朝はだるくて起き上がるのが大変だった。

2回目接種後は腕の痛みは氷のうで冷やすとともに、「カロナール」を当日夕方、夜、翌朝に2錠ずつ服用。薬はふだん飲んでいる痛み止めを用意しておくとよい。また氷のうや腕を冷やすアイスバッグ、消炎シップもよいのでは。できれば接種の翌日は極力仕事を入れずに休んだほうがいいと思う。

【内科医(さく病院)相馬渉先生】

1回目接種の翌日、打った右肩が少し痛くて腕を上げにくかったが、次の日には改善。2回目、接種後に少し痛みはあるが、予防接種や採血のほうが痛いくらいだったと思う。

1回目接種の数日前から漢方「補中益気湯」と「乳酸菌生産物質」で腸内環境を整えて免疫力アップ。1回目、2回目とも接種当日と翌日は、インフルエンザの治癒を早めるともいわれる漢方の「麻黄湯」を1日3包内服。接種前には腸内・口内など体調を整え、こまめに水分補給をし、不安よりも恩恵が多いと身を委ねる姿勢が大切。

■特に2回目の接種では副反応に備えたい

副反応への対処法として、5人中4人の先生が「アセトアミノフェン」という成分を含む解熱鎮痛剤「カロナール」を服用していた。

「体に異変を感じたときにカロナールを服用し、36時間ほどで改善しました」(大谷先生)

解熱鎮痛剤のなかでも、アセトアミノフェンはマイルドな効き方が特徴の成分であるという。

「発熱や悪寒には『カロナール』のほか、イブプロフェンを含む『イブ』、ロキソプロフェンを含む『ロキソニン』など、ふだん服用しているもので問題ないと思います」(友利先生)

ただし、むやみに多量を服用するとワクチンの効果に影響しかねないので注意が必要だそうだ。

さらに「2回目のワクチン接種の翌日は、できればお休みを」というアドバイスも目立った。

「前日にカレーを作り置きしたり、デリバリーを活用するなど、家事を減らしておくと安心だと思います」(友利先生)

「家族や職場の同僚とは、できれば2~3日の間隔をあけて交代で接種をすると、副反応が出たときもお互いをカバーできて助かるでしょう」(森田先生)

内科医の相馬先生は、接種前の体調管理の重要性を強調する。

「腸内と口腔内の環境をきちんと整えて、免疫力のバランスをとっておくことがとても大切です」(相馬先生)

副反応の影響はけっして小さなものではないにしろ、ワクチンを接種するメリットはそれを上回るものだと5人の先生方は話す。

「たしかに熱が出るのは怖いことです。しかし、それは同時に免疫反応が働いている証拠。そのことを冷静に捉える心構えも大切だと思います」(小林先生)

「女性自身」2021年7月6日号 掲載

【関連記事】

カラオケ、ジムは?コロナワクチン接種で、できるようになること

橋本会長“ワクチンはおもてなし”発言に「ドン引き」と呆れ声

ワクチン接種が進む米、関連グッズやサービスに賛否両論