あの橋、スゴいと思っていたけど「世界一」だったんだ!【島ネタCHOSA班】


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南風原町にある「南風原高架橋」は、21連続アーチから成り、その数が「世界一」だと聞きました。ぜひ調べてください。

(宜野湾市 ブリッジット・ジョーンズさん)

沖縄空港自動車道の高架橋ですよね。調査員も空港や豊見城市方面に行くときによく利用しています。左右の街並みや緑豊かな田園風景を見渡しながら走れて爽快感たっぷりの高架橋ですが、「世界一」のアーチ橋とは驚きです。これはぜひ調査したい! ということで高架橋の脇をドライブしながら南風原町役場に向かいました。

橋の脇を走る町道から撮影。間近で見られるので、迫力満点

アーチの数が世界一

出迎えてくれたのは南風原町役場経済建設部まちづくり振興課の照屋梨加さん。南風原高架橋について聞きました。

照屋梨加さん

南風原高架橋は世界一といわれているそうですが、何がすごいのでしょうか?

「アーチの数が21個連続してあるのですが、コンクリート連続アーチ形式の道路橋ではアーチの数が世界一にランキングされました。橋の長さも2位にランクインされたんですよ」と照屋さん。

なるほど、コンクリートの連続アーチ橋で、かつ道路橋という条件で世界的な橋なのですね。アーチの数だけではなくて、橋の長さも世界規模とは驚きです。

資料によると「RC21径間連続開腹アーチ橋」という橋の種類とありますが、橋の概要を教えてください。

「上り線(空港方面)は20連アーチ、下り線は21連アーチになっています。長さは828㍍。アーチの一番高いところは地上約41㍍あります」

おー、地上高はかなりありますね。見上げると、開放感があったのも納得です。橋はいつ頃できたのでしょうか。

「1992年に工事着手し、2000年に開通しました」

8年がかりで出来上がったのですね。資料によると、この橋を含む那覇空港自動車道は九州・沖縄サミットに向け整備が進められ、サミットの関連事業として開通したそうです。各国の首脳もこの道を通ったことでしょう。

石造り文化がモチーフ

デザインについては、戦火で数多く失われた沖縄の石造りの文化がモチーフになっているとのこと。周辺の丘陵地形と調和するようにも設計されているといいます。

何気なく通り過ぎていた橋ですが、沖縄の「石の文化」をモチーフに作られているとは、ロマンを感じますね。

「賞なども受賞しているんですよ」と照屋さん。優秀な橋の建設に授与される「土木学会田中賞」を1994年に、優れた公共的な空間や構造物のデザインを表彰する「土木学会デザイン賞」を2000年に受賞しているそう。デザインも評価されているとは県民として誇らしい限りです。

橋好きの人にはとりわけ魅力的なスポットのようで、「写真を撮りに来る方も見かけます」と照屋さん。調査員も事前に検索したら、橋マニアの方が撮った写真を見つけました。近くで見るのと、遠くから全体を見るのとでは違った表情で、写真の撮りがいもありそう。

これから橋を撮影しに行きたいのですが、おすすめのスポットはありますか。

「宮城公園付近からだと、上から全体がきれいに見えます。また、アーチ橋の脇を走る南風原町道3号線からの眺めも個人的には好きです」

宮城公園から撮影した高架橋。全体像が見えます

調査員も脇の道を通ってきましたが、間近で橋を見ることができ迫力がありました。これは撮影に行かなければ!

「町の上を通る高架なので、南風原町を素通りされる方も多いと思います。橋の周りは住宅も張り付いていないので、橋もきれいに見えますし、澄んだ空気に感じられます。ぜひ、見に来てほしいですね」と照屋さん。南風原町はその他にもかすりをはじめとする伝統工芸や、史跡や文化財など、見どころもたくさん。石造りの橋を眺めながら、南風原のまちを巡ってみてはいかがでしょうか。

(2020年1月16日 週刊レキオ掲載)