マンゴー栽培にICTを。農家の負担軽減、効率化に向けて


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ハウスの環境、最適に

マンゴーの拠点産地、豊見城市で「大良農園」を営む大城良太さん(33)は、マンゴー栽培のベテラン。大城さんのマンゴー作りは、前年の収穫が終わった直後から始まる。

収穫が終わると、翌年もたくさん花が咲くよう新しい葉を育てていく。花が咲き、実がつくとハウスにビニールを掛け、風雨から守る。日光はマンゴーの実を大きく甘く成長させるが、日差しが強すぎると実が焼けてしまう。湿度が高すぎると病気も発生しやすくなる。大城さんは常に天候や気温を確認し、ハウス内の風通しをよくする。実には袋を被せて大切に育てる。

大城さんはマンゴー以外にトマトなどを栽培しており、ハウスも4カ所にある。「天気を見ながら、毎日ハウスを回る。場所によって湿度や温度も変わるので、ハウスごとに管理が変わる」と話す。

「ことしは豊作。甘みも十分だ」。大城さんは、赤く実ったマンゴーを手にニッコリ笑った。

温度、湿度、照度を管理

JAおきなわとNTT西日本が連携して、マンゴー栽培にICT(情報通信技術)を活用する実験に取り組んでいる。ハウス内にセンサーを設置し、温度、湿度、照度を計測。農家は、離れた場所から計測データを見ることができる。いつ、どこにいても、ハウス内の環境を10分毎の計測データで確認することができ、農家の負担軽減につながることが期待される。

実験では、「大良農園」の協力でセンサー11個をハウス内に取り付けた。複数設置することで、ハウス内11か所の温度 や湿度の違いが分かる。大城さんは「天候の変化に合わせてハウスを見に行くが、この機能を使えば行かなくてもハウス内の状況が見えて、安心できる」と話す。

JAおきなわでは今後、マンゴーの色付き方や病気の発生に、温度や湿度、照度がどう影響するか、蓄積されたデータを営農指導に活用していくという。NTT西日本も「沖縄を代表するマンゴーの栽培に、技術が役立つことを期待している」と話す。

(左)ハウス内につるされているセンサー。(右)計測データは、スマートフォンで見ることができる