居心地の良さと非日常を演出
木製の家具、インテリアや空間をデザインするパソコン、音楽を聴くスピーカーなど、比嘉大志朗さん(34)の生活に欠かせないアイテムが並ぶガレージ。自作した家具や雑貨が多くあり、機能的でこだわりを感じる物がそろう。「気付くとこんな空間になっていました」と笑う比嘉さんに、ガレージの魅力や改装について話を聞いた。
「子どものころから住み慣れた実家のガレージで、仕事関連の作業をするようになりました。過ごしやすくしよう、打ち合わせができる事務所のようなスペースにしようと考えながら必要な物を足していくうちに、こんな空間になっていったんです」と話し始める比嘉さん。
インテリアデザイナーとして空間作りを手掛け、現場でさまざまな技術を習得してきた彼は、家具や小物を制作できる。欲しい物を思い付くと、すぐに自作するという。
「まずは空間ありき。空間に合ったインテリアを配置することが大切だと考えています。本を飾る棚をはじめここの家具は、木の質感で統一。実は廃材で作った物が多く、材料費はあまりかけていないんですよ」
カウンターの上にあるコップ立てやコーヒーフィルターホルダーなど、よく見るとユニークな形をしていてあると便利に思える物ばかり。手作りの物以外にも、つるしたい電球を選びそれに合うシェードを組み合わせるなど、比嘉さんのセンスや工夫が生かされているのが分かる。最近のお気に入りは中央のテーブル。ここにはヘリンボーン柄がいいと思い作ったそうだ。
「空間作りで一番大切にしているのは、居心地の良さ。そして非日常を感じる物を1つ加えるのがポリシーで、クライアントさんが何を好むのか把握した上で提案しています。このガレージにも実用的ではない古いラジオなど、非日常的な物がたくさんありますよ」とほほ笑む比嘉さん。
デスクワークや物作りをする事務所であり休日は家族で過ごせるこのガレージは、比嘉さんにとって本当に居心地が良い空間のようだ。
DJ、ミュージシャンとして
ミュージシャンの顔も持つ比嘉さんは、学生時代から音楽活動を続けている。
「叩きたいと思い、ギターよりも挑戦する人口が少ないドラマーになりました。ちょっと変わった事をやりたい性格なんですよね(笑)」
儀間崇さん(元MONGOL800)率いる11人の大所帯スカバンド「THE BARCOX」のメンバーとして活躍中だ。気張らず楽しみで続けているというが、台湾の音楽イベントに出演したりCMソングに起用されたりと実績を重ねている。
「個性的なメンバーとの付き合いや仕事につながる案件が出てくるなど、バンド活動から面白い派生があるんですよ」。真面目に練習は重ねるが、本業にしてお金を稼ぐ考えを持たず、楽しく続けていくそうだ。
音楽活動に加えカナダでの語学留学の背景と持ち前のトーク力から、ラジオ番組のDJとしても活躍。今年6月からFM沖縄の帯番組『Connect』を担当するようになった。
「ニュースと音楽をつなぐ番組で、おしゃれな都会感を出しています。インテリアの話題など自分らしさも盛り込みながら、聴いてリラックスできる時間になるようにという気持ちで届けています」
職に限定されない生き方
マルチに活動する比嘉さんが心掛けているのは、自然体でいる事。個性的で面白い人に見られたい思いから、行動やファッション面も意識しているとの事だ。
「全て本気で取り組んでいるので、本業は何かと聞かれると困る時があります。『タイシロウです』と名乗る事で、何をやっているのか伝えられたら最強だと思っているんですよ。職業に限定されずライフスタイルが仕事になる方向を目指していきたいです」と前を見つめる比嘉さんは、「私らしさ」をモットーに前に進んでいる。
今回取材をしたガレージには革製品の工房スペースを作り、インテリアや雑貨を扱うショップも兼ねる空間をイメージしている。
「半分屋外のオープンな場所であるガレージは特別な場所。活用方法や空間作りを提案したら、このご時世なので浸透しやすいかもしれません」と、新たなアイデアが浮かんでいる。彼がガレージデザイナーという肩書きで活躍する日が近いかもしれない。
(饒波貴子)
比嘉大志朗/タイシロウ
浦添市出身、「居心地の良い空間作り」をテーマにインテリアデザイナーとして活動中。
スカバンド「THE BARCOX(バーコックス)」ではドラムを担当。FM沖縄の番組「Connect」(月~木 18時~20時)、「FLOOR」(月~金 14時55分~15時)ではDJを務めている。
Instagram:@tai_higa
(2021年9月16日付 週刊レキオ掲載)