詩や寸劇、ダンスをミックス
2012年に浦添ナザレン教会で結成された賛美チームVectis(ベクティス)は、今年で活動10周年を迎える。キリスト教における賛美とは神様をたたえ感謝を捧げることを指し、主に「賛美歌を歌うこと」を意味するがベクティスでは歌以外の表現方法も取り入れている。現稼働メンバーは9人。その中の6人に話を聞いた。
キリスト教のプロテスタントに属するナザレン教団は、1895年10月にロサンゼルスで結成された。やがて1905年に日本に伝来後、日本ナザレン教団が結成。現在では全国に70教会、沖縄には6教会存在している。
教会の外にも歌を届けたい
「ベクティス結成のきっかけは礼拝での賛美の時間でした」と語るのはリーダーの濱松真理さん。
当時、毎週準備不足のまま担当していた賛美の時間を改善するため、賛美をするグループを立ち上げたのが始まりだったという。そのうち、他の教会の集まりやイベントへの出演も増え、やがて「特別賛美」と呼ばれる歌のゲストとして県外の教会からオファーされることに。
結成して2年がたった頃、賛美歌を知らない人や教会に来たことがない人にも歌を届けたいとの思いから、初の教会外コンサートを決意。
「何を伝えたいか。それを伝えるためにはどの曲がふさわしいか、どういう内容にしようか、ということをみんなで話し合って決めています。舞台として純粋に楽しい、ということも必要だと思っています」と濱松さんは言う。
第一回のコンサートタイトルは「LOVE(ラブ)」。場所はアイム・ユニバースてだこホール(当時は浦添市てだこホール)の小ホールを借りた。それから今に至るまで「HOPE(ホープ)」、「JOY(ジョイ)」と教会外でのコンサートを3度開催した。
観客が楽しめる舞台づくりを
賛美歌というと合唱団のイメージがあるが、ジャンル・楽器を問わず、詩の朗読や寸劇、ダンスなどの表現も積極的に取り入れるのもベクティスの強みだ。
「クリスチャンでも『賛美=歌』と思っている人が多いんですけど、全部が賛美だということを伝えたい。詩の朗読やダンスは自然と必要だな、と」
詩は、メンバーであり詩人の當間弘子(トーマ・ヒロコ)さん作。コンサートのたびに、テーマに合わせて書き下ろした詩を朗読している。
朗読について呉屋謙仁さんは「ダイレクトに届くので、メッセージ性を持たせたいとなったときに詩のパワーは強いと思いますね」と話す。
ダンスは當山愛美さんが担当。ダンスを取り入れたのは自身もバレエ経験者でもある濱松さんのアイデアだったという。
他にもピアノの連弾や、光る棒を組み合わせてさまざまな形を組み合わせるスティックライトシアターなど、見ている人が楽しめる舞台づくりを心がけているそうだ。
「集まるべく人が集まっているので、それぞれが神様から頂いている個性を出した結果こうなった。良い意味で『想像していたものと違った!』と思ってほしい」と濱松さんは笑う。
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10日(土)にミニライブ、25日(日)には4 度目となるコンサートも控えている。ベクティスのメンバーに今後の展望について語ってもらった。
「いつかなにかの間違いでオーケストラバックで歌いたいです」(呉屋謙仁さん)
「また京都とか東京とか、県外に行きたいです」(當間弘子さん)
「海外の教会でもベクティスのコンサートをして交流を持ちたいです」(濱松真理さん)
「ユーチューブやSNSなどを活用していきたいです」(諸見里愛実さん)
「賛美歌ユーチューバーデビューとかもいいかも」(津波優也さん)
「コンサートに来た人たちと継続的につながっていけたらいいですね」(吉田杏奈さん)
「ベクティスとは、ラテン語で「てこ」の意味。『一人ずつの力は小さくても、心ひとつに賛美する時、神様ご自身が大きく働いて下さる』という確信と期待が込められている名前です」と濱松さんは言います。
常にメンバーのやりたいことや、お客さんが楽しめるアイデアを積極的に取り入れる姿勢のベクティス。より一層の活躍に注目したい。
(元澤一樹)
「Vectis(ベクティス)プレゼンツChristmasチャリティーワーシップコンサートVOL.4 Truth」
日時:12月25日(日)
開場17:30 開演18:00~
場所:アイムユニバースてだこホール小ホール
料金:900円(幼児までの膝上鑑賞無料)
問い合わせ:090-1343-6272(濱松)※SNSのDMからも可
(2022年12月1日付 週刊レキオ掲載)