観客を笑わせる名トロンボーン奏者!?【島ネタCHOSA班】


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沖縄に面白いトロンボーン奏者「伊禮みちか」という人がいるそうです。モノマネやちょっとした冗談が得意で人気だそうです。どんな人か見てきてくれませんか。

(沖縄市・うやふぁーじじ)

「伊禮みちか」さんといえば、沖縄では数少ないプロのクラシックトロンボーン奏者。運良く、近々彼女が出演するコンサートの情報を見つけたので、許可を得て、まずは練習会場に潜入してみました。

踊るクラシック音楽家

伊禮みちかさん

宜野湾市にあるクラシック専用スタジオ「ラクダムジカ」の玄関を開けると、コンサート出演予定者が勢ぞろい!弦楽、木管楽器、金管楽器、ピアノ、パーカッションとたくさんの楽器がそろう様子は、まるで小さなオーケストラ。

みんなでアイデアを出しながら和気あいあいと練習をするなか、小道具も次々と登場し、クラシック音楽家の皆さんが「歌って踊れるキャラ」に変身。

昨年12月11日のコンサート当日は、沖縄市民会館中ホールで「わくわくファミリーコンサートだョ!♪全員集合♪」と銘打った公演が開幕。ファンファーレや音楽に合わせた手遊びなど軽快なリズムから始まり、モーツァルトの格好をした伊禮みちかさんが登場。ユニークなトークやモノマネで年齢幅広い観客の心を一瞬のうちにつかみ、ひとしきり会場を笑わせました。

(左)ひげダンスも披露 (右)沖縄の着物を着たモーツァルトに変身した伊禮さん

ソプラノ歌手・友利あつ子さんによるクラシック曲の歌唱や、管弦楽アンサンブルによる「銀河鉄道999」など往年の名曲が飛び出し、伊禮さんがひげをつけて再登場。会場のお客さんと一緒にボール遊びをすると、この日の最高潮の爆笑の渦と拍手が客席から起こりました。

観客も出演者も笑顔

田場則光さんファミリー

家族3人で見に来たという田場則光さんは「お客さんも一緒に楽しめる演奏会で楽しかったです! 僕もひげをつけてダンスしました(笑)。息子はバイオリンを『くねくね三線』と言って喜んでいました」と笑顔。妻の瞳さんも「気楽でアットホームな演奏会で面白かったよね」と隣でほほ笑みます。「大きいピアノあったよ!」と目を輝かせるのは、息子の福満ちゃん。

今回の出演者・吉川えりなさん(バイオリン)は「バイオリンを持ちながら踊ったのは初かも(笑)。伊禮さんがやる事は面白いだろうと今回出演をお引き受けしましたが、モーツァルトの曲を管楽器の皆さんに囲まれてバイオリン1人で演奏する貴重な機会でした。出演者から見てもとても楽しいステージでしたよ」と笑顔で振り返ります。

吉川えりなさん(バイオリン)

公演終了後、伊禮さんがなぜこんなに観客を笑わせることができるか聞いてみました。

「人を笑わせるのが私の生きがい。幼稚園のころから人を笑わせるのは好きでしたね。特にモノマネが好きで、人の特徴を捉えるのが得意でした。ネタは『自分がこうされたら楽しいだろう』と思うのをヒントにしていますが、笑っている人を見て自分が快感になるから人を笑わせている、というのが本音。人を笑わせて一番癒やされているのは私かも」

沖縄市出身の伊禮さんは、沖縄県立芸術大学を卒業後、桐朋学園大学研究科や桐朋オーケストラ・アカデミーを経てプロデビュー。東京で20年間音楽活動をするなかで、100校以上の学校公演を経験。

「人を笑わせたかったら、まずは自分を好きになり、肯定すること。自分ができないことに凹んだり責めないで『こんな自分でもいい』と思うこと。そこから幸せになるための音楽や笑いが生まれる。笑いは想像力です」と目を輝かせます。

クラシックのトロンボーン奏者がモノマネやコミカルなトーク。今度はぜひ客席で見たいです!

今回の出演者。(上段左から)たさとしのぶさん、友利あつ子さん、伊禮みちかさん、小渡美和子さん。(下段左から)吉川えりなさん、伊敷祐希さん、赤嶺涼太さん

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TEL 090-7212-3716
michika.irei@gmail.com

(2023年1月19日 週刊レキオ掲載)