県立図書館で明治・大正・昭和の音源が聞ける!?【島ネタCHOSA班】


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那覇市泉崎の県立図書館で、明治・大正・昭和の歴史的音源を聞くことができるサービスを3月15日に開始する―。そんな情報をキャッチした調査員。多様なジャンルの豊富な音源の中には、1930年~50年代の琉球民謡・八重山民謡も含まれているとのこと。「これはぜひ調査せねば!」と、調査員は県立図書館へと向かいました。

2018年12月に開館した県立図書館。ゆいレール旭橋駅・バスターミナルと直結した複合施設「カフーナ旭橋」の3~6階(一般利用は5階まで)に入居し、昨年11月時点で約94万1千冊の書籍を所蔵。そのうち約33万6千冊が郷土資料で、これは琉球・沖縄関連の資料を収める施設として最大なのだとか。

約5万点の音源が聞ける

県立図書館資料班主査の上原明香さん(右)と主任の磯ケ谷真依さん

調査員が向かったのは、4階のサービスカウンター。資料班主査・上原明香(さやか)さんと主任の磯ケ谷真依(まより)さんが出迎えてくれました。案内されたのは、AVブース。おや、県立図書館にこんな場所があったとは…。

簡単に仕切られた座席をのぞくと、ノートPCとヘッドホンがセットされており、画面には「国立国会図書館 歴史的音源(通称れきおん)」のホームページが表示されていました。なるほど、これを使って歴史的音源が聞けるのですね。

まずはざっとホームページを見させてもらうと…。民謡、歌謡曲、邦楽、クラシックなどの音楽、さらに落語・漫才、演劇・演芸、講演・演説と、幅広いジャンルの音源へのリンクが並んでいます。

「こちらは、歴史的音盤アーカイブ推進協議会(HiRAC)がSP盤レコードをデジタル化した約5万点の音源を、国立国会図書館および配信提供参加館で聞くことができるサービスです」と磯ケ谷さん。SP盤とは、現在のLPレコードが登場する前のレコードのこと。日本では1900年代~50年代ごろ製造されており、その頃の音源を聞くことができるというわけです。

「国立国会図書館が、全国の配信参加館に配信を行っています。沖縄では県立図書館が初の参加館として、15日からサービスを開始します」

収録音源数は、なんと約5万点! うち約6千点はインターネットで一般公開されており、ネット環境があれば誰でも自由に聞くことができます。残りの音源は図書館内に限っての公開となっています。

「国立国会図書館 歴史的音源(れきおん)」のホームページ。一部の音源は図書館外からも聞くことが可能

沖縄関連の視聴覚資料も

歴史的音源の中には、沖縄音楽も。沖縄音楽のSPレコードが初めて発売されたのは1915年。以降、50年代ごろまでに発売されたSPレコードの音源160点以上が収められています。これは貴重ですね! 現在、れきおんのホームページには、高知大学の高橋美樹教授によるれきおん内の沖縄音楽の紹介記事が掲載されているので、興味のある方はそちらをご参照ください(「れきおん」で検索)。

「沖縄関係以外では、政治家や文化人など、歴史的人物の肉声が聞けるのも面白いですよ」と磯ケ谷さん。例えば、一昨年のNHK大河ドラマの主人公となった日本資本主義の父・渋沢栄一や、歌人の与謝野晶子の声なども聞けます。うーん、面白い!

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さらに…。県立図書館の「放送ライブラリー視聴サービス」では、沖縄関係のテレビ・ラジオ番組も館内視聴可能。現在、1969年のニュース番組や、80年代以降の重要なドキュメンタリー番組など45本を公開(番組は随時更新)しています。

歴史的音源、放送ライブラリーを視聴できるAVブースとノートPC(要受付)

「番組を視聴して、気になるテーマがあったら、関連書を探してみるのもいいですよ」と上原さん。

「図書館は、本の貸し出しに加え、さまざまな情報を発信する知の拠点でもあります。歴史的音源やテレビ・ラジオ番組を知るきっかけにして、ワクワクしながら楽しんでいただければ」。司書さんなど図書館スタッフも資料探しのサポートができるので、気軽に声をかけてほしい、と上原さんは呼びかけます。

次の週末、図書館に出掛けてみたくなった調査員でした。


歴史的音源、放送ライブラリーの視聴は4階サービスカウンターで受付。開館時間9~20時、火曜定休

(2023年3月16日 週刊レキオ掲載)