今、沖縄発の新しいお菓子が話題になっていることをご存じですか? 商品名は、なんと「黒い欲望」。お菓子らしからぬ(?)、非常にインパクトのあるネーミングですが、いったいどんなお菓子なのでしょうか…。島ネタCHOSA班が調べてみました!
5月4日に発売された沖縄発の新しいお菓子「黒い欲望」。何はともあれ、まずはこの面に掲載したパッケージをご覧ください。
塩せんべい×チョコ
実はこの「黒い欲望」、割れた塩せんべいにチョコを染み込ませたお菓子なんです。
甘さとしょっぱさが同時に楽しめ、一口食べたら、やめられない―。「エンドレスに食べ続けたい!」という、まさに「黒い欲望」を喚起する塩せんべい×チョコのマッチング。40代以上の世代には、駄菓子屋で食べた思い出の味ですが、今回、どのように商品化が企画されたのでしょうか?調査員は、商品の開発と販売を手掛ける株式会社ファッションキャンディを訪ねました。
出迎えてくれたのは、事業本部統括部長の仲宗根亜登夢(あとむ)さんと、事業課販促企画の杉本梨菜さん。
開発のきっかけは、新型コロナウイルスの感染拡大。ちんすこうショコラなど、沖縄ならではのお菓子を製造・販売するファッションキャンディの主力商品は観光客向けのお土産菓子。観光客の減少に伴い、売上が激減してしまったといいます。
「そこで、当社がこれまで培ってきたチョコレートの技術を使い、日常的に食べられる新沖縄菓子の開発を社員一丸となって始めたんです」(仲宗根さん)
ハチャグミ、タンナファクルー、サーターアンダギーなど、さまざまな沖縄菓子との組み合わせが検討される中、最終的に選ばれたのが塩せんべい。昔懐かしい塩せんべい×チョコの組み合わせを、今の若い世代にも継承したいとの思いもあったといいます。
ただし、チョコレートをコーティングするという従来の方法ではうまくいきませんでした」と仲宗根さん。塩せんべいの表面の凸凹や、同社が使用している口当たりのよいチョコレートは、沖縄の高温では溶けやすいことも壁となってしまったのだそう。
そこで、せんべいやクッキーにチョコを染み込ませる「チョコの含浸装置」を沖縄県内で初導入。暑い沖縄の環境下でも溶けにくいお菓子を実しました。
地域とも連携し開発
塩せんべいは、西原町の塩せんべいメーカー「サンシオ」の割れせんべいを使用。これまで廃棄していた割れせんべいを有効活用できるため、SDGsの観点からはフードロスの削減につながり、かつ割れているほうがチョコが染み込みやすいというメリットも!
「『黒い欲望』という名前は社内で公募し投票で決定しました」と杉本さん。Z世代がSNSで拡散したくなるような大胆な商品名を危惧する声もあったそうですが、最終的には全て任せてもらえたそう。
「味については、社内のほか、県内の学校に協力してもらい、中高生約千人に試食アンケートを実施しました」(杉本さん)。チョコの染み込み具合の異なる3つの試作品の中から、学生に最も好評だったものを選びました。
「県内の企業で連携して作り上げることもコンセプトでした。パッケージのデザインも、県内のデザイナーさんに依頼しています」。地域とも連携して作り上げられた商品だったというわけですね!いやはや。
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この「黒い欲望」、県内各地のドン・キホーテやファッションキャンディオンラインショップで販売が開始していましたが、6月からは、県内のサンエー、イオン、ビッグワンの店舗でも順次販売されます。
見かけた際には、皆さんもぜひ味わってみてください。
ただし、「いつまでも食べていたい」という黒い欲望が止まらなくなっても責任は持ちませんよ!
(2023年6月15日 週刊レキオ掲載)