琉球新報社 二人の化学反応に期待
「しんちゃん」の愛称で親しまれる津波信一さんが、久しぶりに舞台に出演。お笑い芸人ベンビーさんの声掛けに応じ、共演を決めたという。その共演を提案したのは、脚本家・演出家の徳田博丸さん。一人でショートコントを演じるベンビーさんの姿を見て、「長尺のコントを先輩と演じるのはどうですか？」と伝えたそうだ。津波さんと舞台に立ちたいと思ったベンビーさん、即OKした津波さん、きっかけをつくった徳田さんに話を聞いた。
「去年の秋に徳田さんと飲む機会があった時、『ライブをやるなら先輩と一緒にやった方がいい。例えばしんちゃんさんと』と言われ、やってみたいと思いすぐに確認。トントン拍子に進んだんですよ」とベンビーさん。津波さんが出演していたテレビ番組『お笑いポーポー』などを学生時代に見て影響を受けてきたというベンビーさんは、共演ライブの開催は刺激的で新鮮だと話す。
「普段のライブより年齢層が少し高めの僕が知らないお客さんも来場されると思いますが、客席の全員が爆笑している場面が浮かぶんです。そこまでイメージできる舞台はあまりなかったので、珍しい経験。でも一番楽しみにしているのは、終演後の打ち上げなんですけどね（笑）」
ベンビーさんからの共演オファーは「本当にうれしかった」と話す津波さん。「頭が良いピン芸人」という印象があり、一緒に舞台に立った時に起こる化学反応を楽しみにしているという。
「若手に譲ればいいのにここまでやるのかと思われても、貪欲でいたい気持ちがあるので挑戦します」とほほ笑む津波さん。一方で期待値が高いために怖くなり、逃げ出したい気持ちも。
「舞台に立つのが久しぶりなので、忘れかけていた楽しさをベンビーと体感できるといいなと思っています。お客さんも『舞台っていいな～』と実感してほしいです」と、同じ空間でみんなで笑い合う一体感を大切にしたいと津波さんは話す。「コロナ禍を経て、おじさんたちはまた頑張ります。成功して次に行きたいですしね（笑）」「祝200歳までやりましょう！」（ベンビーさん）
財産になる公演
大阪出身・在住の徳田さんは吉本新喜劇や松竹新喜劇の脚本を書き、放送作家として舞台・ラジオ・テレビの構成演出も手掛ける人物。よしもとの劇場「沖縄花月」の開館や、ガレッジセールが座長の「おきなわ新喜劇」に大きく関わるなどして、県内エンタメ界で活動を広げ人脈を築いてきた。「祝100歳ライブ」上演用に、ラジオ局のスタジオ内で本番直前に繰り広げられる、ヘビーリスナーとスタッフの緊急事態のドタバタ劇を書き上げたそうだ。
「自分が書いた台本なのに、稽古を見ながらずっと笑っていました」と徳田さん。
「ベンビーさんにとって先輩との共演が挑戦になり、後輩に背中を見せられるのではと思えました。キャリアのある津波さんに声を掛ける後輩はなかなかいないと思え、良い組み合わせになるとイメージできたんです」と話す徳田さんは、「この公演は、津波さんとベンビーさんの財産になるでしょう。そして後輩芸人のみなさんの財産としても輝くはずです」と期待を膨らませている。
素の姿を楽しむ
本番が近づき稽古に熱が入る中、見どころを教えてもらった。
「貪欲な沖縄のおじさん二人のあがきを見に来てください。40～50代の方が懐かしさを感じるコントもやります。今回を機に、コラボ系の演芸シーンが盛り上がっていくのではないかという可能性を感じています」（津波さん）
「あまり見られない組み合わせの二人が、どんなことをやるのか楽しみに来ていただきたいです。普段やっているお笑いもあり、徳田さんが書いた大阪テイストが入った喜劇もあり、期待を裏切りません！」（ベンビーさん）
「演技をしながら困っている津波さんとベンビーさんの素の姿を見ていただきたいです。テレビなどでは見られないリアルな二人を感じ、楽しめると思います。お客さまに100㌫楽しんでいただき、同業者がうらやましく思う公演を目指します。面白いものを作ろうと思う気持ちが同業の多くの人に湧き出て、広がっていくといいなと思うんです」（徳田さん）
どんなせりふが飛び出し、どんな笑いが巻き起こるのか想像できないながらもワクワクする二人の共演。当日が待ち遠しい。
（饒波貴子）
『祝100歳』ライブ
日時：7月15日（土）開場18時30分／開演19時
会場：テンブスホール（那覇市牧志・那覇市ぶんかテンブス館4階）
出演：津波信一・ベンビー／ゲスト：ナツコ
チケット：前売り・当日共に3000円
予約：TEL 098-866-6118（オリジン・コーポレーション）
（2023年6月29日付 週刊レキオ掲載）
