浦添市を舞台にした本格歴史アニメ!?【島ネタCHOSA班】


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この間、浦添市民体育館に行った際に知らないアニメのポスターを見つけました。どうやら浦添市を舞台にしたアニメらしいのです。面白そうなので、ぜひ調査お願いします。

(那覇市 目からビーム)

調べてみると『琉球タイムライン』だと判明しました。現在まで『琉球タイムライン―未来少女と古(いにしえ)の王―』と『琉球タイムライン―てだこのまち探訪―』がYouTubeで公開されています。

さっそく調査員は話を聞きに浦添市の観光振興課に向かいました。

市のPR動画として

調査員を迎えてくれたのは志賀真弓さんと津波英明さん。

『琉球タイムライン』制作のきっかけは、2019年の首里城火災がきっかけだったといいます。

「首里城の火災で観光客が減るんじゃないか、と考えたんです。そこで、首里城に変わる歴史資源として、浦添市をPRするためにこのアニメを作りました」(志賀さん)

「浦添城や伊祖城は、首里城よりも古い歴史を持っているんですけど、あまり知られていないんです」(津波さん)

そして、21年3月に『琉球タイムライン―未来少女と古(いにしえ)の王―』が公開されました。

浦添市に住む高校生の城間あかりが、ひょんなことからタイムスリップし、目が覚めると察度王が治める古琉球の中山だった…というのが本作のあらすじ。

主人公である城間あかり役に、当時高校生の佐野ゆうきさんを起用。主人公の名前・声優は一般公募から決定したといいます。その他のキャストもこだわっており、察度王役に沖縄出身の声優・新垣樽助さん。また、お笑いコンビ・大自然の二人(そのうちの一人、ロジャーさんは浦添市出身)も声優として参加しています。

左から金城翼、新垣サラ、城間あかり、察度王。察度王の毛深く、色が濃い左腕は、毒蛇にかまれ、片腕を部下から献上されたという伝承から(提供写真)

翌年22年2月には続編に当たる『琉球タイムライン―てだこのまち探訪―』を公開。浦添市のPRを全面に打ち出した本作は、現代の浦添市に現れた察度王が、カーミージーや安波茶橋など、浦添市のさまざまな観光スポットを巡るストーリーがメインとなっています。新キャラクターに城間あかりの友人役の新垣サラと金城翼を追加。金城翼役には沖縄のご当地Vtu berの根間ういさんを起用し、よりにぎやかなアニメに仕上がっていますよ。

国指定史跡に指定されている安波茶橋(提供写真)
A&W牧港店(提供写真)

『琉球タイムライン』はYou Tubeに公開されてから、県内外の視聴者から多くのコメントが寄せられました。

「『察度王や浦添市について初めて知った』『面白かった』という好意的な意見が多かったです」(志賀さん)

うらそえナビのYouTubeチャンネルには英語字幕版も公開されおり、海外の人にも楽しまれています。

歴史を学ぶきっかけに

今年、3年ぶりに開催されたてだこウォークでは、新たに「琉球タイムライン聖地巡りコース」が追加され、察度王やあかりちゃんが訪れた場所を実際に歩いて回ることができたとのこと。

「公開されて時間はたっていても、まだ見られていない方もいます。てだこウォークは浦添市内の街巡りと健康増進を兼ねたイベントなので、周知の面でも琉球タイムラインを前に押し出したいと思いました」(津波さん)

今後について、志賀さんは「アニメを見たらぜひ実際に現地に足を運んでほしいですね。浦添市の文化・歴史を知るきっかけになればうれしいです」と笑みをこぼします。

浦添市観光協会うらそえナビでは『琉球タイムライン』以外の古琉球事業として『電子紙芝居「浦添市三大王統」』というアニメ作品を公開しています。三大王統とは、12世紀半ば頃から本島中部一帯を支配下に収めたとされる舜天王・英祖王・察度王と続く3つの王統のこと。こちらは県外の修学旅行生や県内の学生向けに作られた動画となっており、浦添市の歴史についてより深く知ることができるといいます。

浦添市を舞台にしたアニメは、現代と古琉球、2つの時代をつなぐ架け橋のようなアニメでした。

(2023年6月29日 週刊レキオ掲載)