地元産小麦で麦茶の焙煎体験!? 【島ネタCHOSA班】


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沖縄旅行の下調べをしていた県外の友人が、うるま市の面白い喫茶店を見つけました。地元で栽培された小麦を自分で焙煎(ばいせん)して、麦茶として飲むことができるそうです。ぜひ調べてください。

(那覇市 ウイートニー・ヒューストン)

眞榮里良人さん

地元産の小麦を使用した麦茶の焙煎(ばいせん)体験とは面白い試みです。訪れたのは、うるま市勝連にある「宿&喫茶アガリメージョー」。畳敷きの店内は祖父母の家を訪れたような、懐かしさを覚える空間です。店主の眞榮里良人さんに話を聞きました。

店名の「アガリメージョー」は眞榮里家の屋号とのこと。長男家系で生まれ育ち、実家を継いだ眞榮里さんは「何か面白いことをしたいという気持ちに駆られて」実家を改装。「地域の文化を楽しむ泊まれる喫茶店」をコンセプトに2019年にオープンしました。仏壇も残しているため、お盆や正月、シーミーなどは休業し、親戚が集まるそうです。

仏壇のある店内。ナポリタン、コーヒー、ぜんざいなどのメニューも。Wi-Fiも完備

体験通して文化を楽しむ

そんなユニークな同店のメニューの一つが、麦茶の焙煎体験「本気の麦茶」。使用するのは、伊計自治会が中心となり、2016年に約50年ぶりに復活栽培させた伊計島産の無農薬小麦です。

眞榮里さんは、うるま市内の離島の地域おこしに関わる団体が前職。前職を通して小麦栽培を復活させた伊計自治会の玉城正則会長と出会い、小麦から麦茶もできるということを教えてもらっていました。「焙煎してみたら楽しくて、香りが良く、おいしかったんです。焙煎を体験してもらい、伊計島の話などもトータルで伝えた方が価値が高いと思って」メニュー化しました。

「本気の麦茶」というネーミングには本気で続けていくという思いと、「島おこしに取り組む伊計自治会長の本気の姿を応援したい」という思いなどが込められています。売り上げ(1000円)の半分を伊計自治会に寄付しているといい、合計の寄付金はこれまでに10万円に達したそうです。

さっそく焙煎を体験させていただきましょう! あらかじめ9割ほど焙煎された小麦を仕上げていくというシステムだそう。まずフライパンで小麦を煎(い)っていくと、すぐに香ばしい香りが漂い始めます。少したつと小麦がフライパンの上で動き出しましたが、眞榮里さんいわく今回は「恥ずかしがりやの小麦」とのこと。小麦の粒がポップコーンのようにはじけることもあるそうです。5分ほどで焙煎が完了するとミルで粗めに挽(ひ)き、急須に入れ、抽出して出来上がりです。

小麦をフライパンで煎(い)って、ミルで砕き、お湯を注いで完成。ホットとアイスを飲み比べることができます

ホットとアイスの両方を飲み比べができ、まずはホットをいただくと、香ばしくて、ほんのり甘みも感じます。次にアイス。麦の茎で作った麦わらストローで飲みます。アイスはさらに甘みを感じます。工程の合間の眞榮里さんのトークも好評で、小麦のこと、伊計島のこと、眞榮里さんの思いなどを知ることもできます。

「小麦コーヒー」も誕生

小麦コーヒー(右)と小麦珈琲の豆乳ラテ

同店では「小麦コーヒー」も提供。「本気の麦茶の副産物」だといい、失敗から偶然開発につながったもので、焙煎をさらに深煎りにした小麦を使ったコーヒー風味の「穀物コーヒー」です。

そちらも飲ませてもらうと、香ばしく、すっきりとした苦みもあり確かにコーヒー感覚で飲むことができます。マイルドで飲みやすい豆乳ラテも提供。ノンカフェインなので、お子さんや妊娠中の方にもおすすめです。

地域の文化も体験できるアガリメージョー。実家を守りながら、文化やここでしかできない体験を発信している本気のお店でした。


宿&喫茶アガリメージョー

うるま市勝連平敷屋3661番地

TEL 090-1710-4106

営業時間:11時30分~16時

定休日:不定休

https://efg9042314.wixsite.com/e-fg

(2023年7月6日 週刊レキオ掲載)