21世紀型「まちの電器屋さん」に注目!?【島ネタCHOSA班】


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21世紀型のまちの電器屋さん「アトム電器チェーン」をご存じですか? 価格は量販店並みで、購入時の相談に親切に対応。修理・工事など、面倒見のいいのが特徴なんです。でも、どうして価格とアフターケアの両立が可能なのでしょうか? 調査員が調べてきました!

アトム電器チェーンの沖縄地区本部、アトム電器美里店(ナカマ家電サービス)

21世紀型のまちの電器屋さん…。読者の皆さんは「そんなの初めて聞くよー」と思っていらっしゃると思います。まちの電器屋さんはいいとして、21世紀型とは?

チェーンで競争力を

ナカマ家電サービスの名嘉眞良國代表取締役(提供)

その秘密に迫るべく、調査員は、沖縄市美里の「アトム電器美里店」へ。有限会社ナカマ家電サービス代表取締役の名嘉眞良國(よしくに)さんが、柔和な笑顔で出迎えてくれました。

同店は、21世紀型電器店「アトム電器チェーン」の沖縄地区本部。アトム電器チェーンというのは「全国で1000店に迫るまちの電器屋さんのチェーン」です。沖縄には、宮古島・石垣島を含め、現在25店舗が加盟。地区本部長を務める名嘉眞さんは、チェーンを沖縄に広めた立役者。

「以前は、沖縄県内にもまちの電器屋さんが750店舗ほどあったんですよ。ところが、今は110店舗あるかどうか…」と話し始めた名嘉眞さん。背景には、新たに登場した量販店との競争があったといいます。

状況の打開のために、名嘉眞さんが必要だと考えたのが、まちの電器屋さん同士の連携。互いに協力し合うことで、競争力を得ることができる、と考えたそう。そんな折、雑誌でアトム電器チェーンの広告を目にした名嘉眞さんは、すぐに全国本部の大阪に足を運び、加盟を申し出ました。ところが当時、沖縄にはアトム電器チェーンの加盟店が1つもなく、加盟にあたっては一定数の加盟店を集めてほしい、と条件を出されます。

そこで名嘉眞さんは、1年間かけて夜遅くまで沖縄中のまちの電器屋さんを歩いて回り、加盟店を募りました。努力のかいあって、平成17(2005)年に加盟が実現。

「前は、隣の電器屋さんはみんなライバルだったんですよ。でも、アトムとしては、味方ですよ、と」

アトム電器チェーンのうたい文句は「量販店にも負けない価格と品揃(ぞろ)え」。集団でまとまって商品を仕入れれば、一店舗で仕入れるよりも仕入れ値は下がります。チェーンに加盟すれば、商品を安く仕入れられ、また系列メーカー以外の商品も取り扱いができ、おまけに本部から販促のサポートが得られるという利点も生まれます。

家電がズラリと並ぶアトム電器美里店の店内(提供)

まちの電器屋さんの力

今の時代だからこそ、まちの電器屋さんは、大きな可能性を持っている、と名嘉眞さんは力説します。

「まちの電器屋さんは、なくてはならないインフラ。今、本当にまちの電器屋さんが減っていますが、電化製品はどんどん増える一方。すると、家電修理難民が発生します」

冷蔵庫や洗濯機、エアコンは、今や私たちの生活になくてはならないものですが、量販店経由では迅速に修理ができなくなる恐れもあるそう。

「でも、まちの電器屋さんには、それができる」と名嘉眞さん。もともとまちの電器屋さんは高い修理技術を持つことが多いのですが、アトム電器チェーンではさらに、研修所や加盟店同士の情報交換で修理のノウハウを共有し、アフターケアに努めています。

加えて、まちの電器屋さんならではのお客さまとのつながりを生かし、住設(おうちの設備)やリフォームなど、暮らしに関するサービスも導入。アトム電器美里店の店内には、ニーズの高いシニアカーも並び、お客さまの多様な要望に応えています。これらの努力により、ナカマ家電サービスの年商は1億3千万円に。

「今県内に25店舗ですが、50店舗はほしい。一緒にやればまちの電器屋さんは浮き上がってくるし、やる気があれば大きな仕事もできます」

加盟には保証金(退会時返金)と月額FC料が必要ですが、得られるメリットは大きい、と名嘉眞さん。既存のまちの電器屋さんはもちろん、新しく事業を始めてみたい人にも、アトム電器チェーンへの加盟を呼びかけています。


アトム電器 美里店(ナカマ家電サービス)

沖縄市美里6-25-19

TEL 098-937-0233

(2023年7月20日 週刊レキオ掲載)