周りと違っていいんだよ【レインボーハート】


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この連載のタイトル「レインボーハート」。レインボーはLGBT・性の多様性の象徴といわれ、虹にいろんな色があるように性も多様だという世界共通のメッセージです。僕は今「レインボーハートプロジェクトokinawa」という団体の代表として、主に県内の小・中・高校で講演活動を行っています。子どもたちにLGBT・性の多様性を伝えることを通じて、自分らしさを大切にできる「自己肯定感」と、自分と違う人を大切にできる「多様性の尊重」の心を育みたい、その思いをレインボーハートに込めました。

しかし、僕がいくら学校の子どもたちに伝えたいと思っても、勝手に学校に入って講演をすることはできません。呼んでもらい初めてできるのが学校講演です。この団体にはたくさんの学校の先生が推進メンバーとして参加し、講演企画や僕のことを他の先生方に推薦してくれていますが、そのほとんどは養護教諭、つまり保健室の先生です。

そもそも最初に僕に講演会の依頼をくださったのも高校の養護教諭の方でした。養護教諭の方はLGBTに関心の高い方が多いと感じますが、実は講演会の依頼はLGBTのことだけ伝えてほしいという依頼ではありません。

LGBTは周りと違うことで悩みます。僕はゲイですが、例えば中学校で男女の恋愛話が始まったり、男子の友達はどんな女子がタイプか盛り上がる中で、自分だけ男性に性欲を抱き、恋愛感情を持っていて、周りとの違いにとても悩みました。

一緒に活動している養護教諭たちと

しかし、そんなふうに周りと違って悩むのはLGBTだけでなく、今はいろんな子どもたちが学校で周りと違うことに悩んでいると養護教諭の方たちは話します。友達に合わせて自分の気持ちを我慢したり、周りを気にして自分のことが大切にできない子どもたち。担任や教科の先生とは違って、養護教諭の方はある意味子どもの評価をしない立場なので、子どもたちも「この人になら言っても大丈夫かな」といろんな悩みを打ち明けるのだと思います。

2016年10月に始めた学校講演会は、県内を中心に延べ85の学校にまで広がりました(11月時点)。いろんな先生方の思いで広がってきましたが、特に養護教諭の方たちの自己肯定感の低い子どもたちを何とかしたい、子どもたちがもっと多様な人を大切にできるようになってほしい、その切実な願いでこの講演は広がっています。きっと養護教諭に救われたという子どもはたくさんいるのではないかと思います。僕も自分らしさを大切にし、そして自分と違う人を大切にする、そんな「レインボーハート」を子どもたちに育んでいきたいと思います。

(2018年11月20日 琉球新報掲載)

 たけうち・きよふみ 岡山県津山市出身、沖縄県在住。レインボーハートプロジェクトokinawa代表。LGBTをテーマに学校講演会を数多く行う。