地元の恩師、同級生も応援者に 広がる故郷での講演会【レインボーハート】


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

6月初旬、故郷岡山県の県立勝山高校蒜山校地と真庭高校久世校地で全校生徒対象のLGBT・性の多様性講演会を行いました。これまで岡山では小中学生対象の講演会は行ったことがありましたが、高校では初めてでした。那覇―岡山間の往復航空券はスポンサーである日本トランスオーシャン航空さまが無料提供してくださいました。

蒜山校地の校長先生は私の高校時代の数学の恩師、そして講演を企画してくださった先生はなんと私の遠い親戚! 本当に不思議なご縁を感じました。

ちなみに恩師とは高校卒業以来約24年ぶりの再会でした。講演会後の食事会では昔話に花が咲き、とてもうれしい再会になりました。恩師が校長をしている学校で講演をさせていただけるなんて、誰でもできることではないと思いますし、きっとこれまで学校講演会を続けてきたご褒美だと思っています。

私が生まれた岡山県北は、沖縄で言えばやんばるのような地域です。高齢化が進み、子どもの数も減り、高校もずいぶん統廃合されました。そんな田舎では「男女が結婚して、子どもを産み育てるのが当たり前」といった伝統的価値観も強いため、LGBTの人たちにとっては肩身が狭く、不安や心配を抱え生きづらさを感じている人も多いのではないかと想像します。

私は小学5年生の頃に同性が好きなことを自覚し始め、中高生時代も周りの男子と違うことに悩みました。でも誰にも相談できず、ゲイであることを直そうとさえ思いました。

「きっと当時の私と似た気持ちの子どもはいるはず。まず誰かが声を上げなければ!」と思い、私は2016年から故郷で一般対象の講演会をするようになりました。

恩師の勤務する県立勝山高校蒜山校地にて、岡山での初高校講演会でした

最初の講演会は同級生や小学校の恩師も協力してくれました。母親も聞きに来てくれて、私がゲイであることを母が受け入れるきっかけにもなりました。

その後、高校の同級生や後輩が主催してくれた講演会には地元の学校の先生方も参加してくださり、その先生方が教職員対象研修会に講師として呼んでくださり、小中学校での講演も依頼されるようになりました。

「周りと違っても大丈夫!」というメッセージに共感くださる故郷のみなさんのおかげで、今年は年に3回も帰省し、学校講演会等をたくさん行います。

岡山で生まれ、ゲイであることを本当に悩んでいた時代がありましたが、同級生や恩師らの応援をいただきながら講演活動をできている今、なんだか悩んでいた若い時代を取り戻すような、そんなうれしい気持ちになっています!

(2019年6月25日 琉球新報掲載)

 竹内清文(たけうち・きよふみ) 岡山県津山市出身、沖縄県在住。レインボーハートプロジェクトokinawa代表。LGBTをテーマに学校講演会を数多く行う。