SNSで知り合った人と子どもが会わないために親がすべきこと モバプリの知っ得![102]


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大阪府警は11月23日、大阪で17日から行方不明になっていた小学6年の女児を栃木県で保護したことを発表しました。また、この女児を誘拐したとして35歳の男を逮捕しました。男はSNSで女児とやりとりし、大阪の公園へ誘いだして電車で栃木県まで移動したとのことです。

保護者の知らないところで、ネットで知り合った人と交流し、誘拐事件へ繋がる。子を持つ方であれば恐怖を覚えた事件ではないでしょうか。

各種メディアも、SNSの使い方の注意喚起を促していますが、実は「オンラインゲーム」も同様のリスクをはらんでいます。

まず保護者がとるべき対策は、子供のスマホの「フィルタリング機能」を有効にし、リスクのあるサイトへのアクセスをブロックすることでしょう。また、「ペアレンタルコントロール機能」も活用し、利用時間の制限を設ければより良いでしょう。

同時に、これは「スマホの使い方」だけの問題でもないことを意識しなければいけません。

注意すべきはSNSだけでない

今回の栃木の事件は、SNSが誘拐のキッカケとなりました。

SNSとは「ソーシャル・ネットワーキング・サービス」の略称で、「ネット上で人間関係を築きましょう」としたサービスです。代表的なSNSは、Twitter、Facebook、Instagramなど。SNSそのものは、最新のニュースを仕入れたり、共有の趣味を持つ仲間を見つけたり、有益な情報を知ることができたり、一定のメリットがあります。

その一方で、SNSで知り合った人と(SNS上で)トラブルになったり、フェイクニュース拡散の温床になるなど、一定の問題点があるのも事実です。

2017年には、神奈川県座間市のアパートから男女9名の遺体が見つかる連続殺人が発生しました。この時も、犯人の男はSNSを通じて「心が弱っている人」を狙い、優しいメッセージを送り、自宅に誘いだして殺害をしています。

警察庁の発表によると、昨年SNSを通じて事件にまきこまれた18歳未満の子供は1811人で、小学生の被害も増えています。

また、近年では「オンラインゲーム」をキッカケとした事件も発生しています。

今年1月には、福岡に住む12歳の男児が、香川県に住む22歳の女のところへ会いにいき、強制性行の疑いで22歳の女が逮捕されました。

オンラインゲームで人気を博している「スマホ対戦型バトルロイヤルゲーム」では、ネットで知り合った人とチームを組んで、勝利を目指します。その際、電話のようにチームメイトとお喋りする「ボイスチャット機能」をオンにしながらプレイすることが多く、運良く敵チームに遭遇しない時間帯には、その日あったことなどをみんなでお喋りしながらゆったり交流したりもします。

ゲームをやるたびにシャッフルでチームを組む「一期一会方式」ならともかく、ゲーム内での団体に所属し、いつも同じメンバーでボイスチャットをしながら交流をすると、SNSの「文字だけ交流」と比べても、一気に親近感を抱きます。

利用者数が多いことからSNSのトラブルが多く報じられますが、構造を紐解いていくと、オンラインゲームも同様のリスクをはらんでいます。

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

保護者は「フィルタリング」と「ペアレンタルコントロール」を

子供達をこうした事件やリスクから守るために、まずできることは「フィルタリングサービス」への加入です。フィルタリングサービスを使うことで、交流サイトや不法サイトなどへアクセスできなくなります。

フィルタリングは年齢に応じて複数の強さから選ぶことができるため、発達に応じて変更することが可能です。携帯電話会社に申し込みをすることで、無料で使うことができます。

また、保護者が子供のスマートフォンの利用時間や設定を管理する「ペアレンタルコントロール」も有効です。

親子のスマホがiPhoneの場合は設定の中の「スクリーンタイム」、親子どちから(あるいは両方)がAndroidの場合は「Googleファミリーリンク」のアプリを使うことで、「夜10時以降は使えなくなる」「ゲームアプリは1日2時間まで」などの制限をかけることができます。

こうした対策が「とりあえず」有効である一方、スマートフォンのアプリは、新陳代謝がとても早く、子供達は次から次へと新しいアプリに飛びつきます。アプリごとに性質が違うため、保護者の対策も常に変化し続けます。
今後は「フィルタリング」「ペアレンタルコントロール」では不十分になることがあるかもしれません。

保護者の側も、「対策のアップデート」を求められています。

スマホだけの問題か?

こうしたスマホ、SNSがキッカケのセンセーショナルな事件が起きると、「スマホ」「SNS」の対策にだけ目が行きがちです。

確かにスマホ、SNSのリスクはこれまで述べてきました。しかし同時に「子供達の居場所」についても意識してみましょう。

例えば、家庭・学校・地域に居場所がないと感じ、SNSで知り合った共通の趣味を持つ友人にだけ心を開いていたら、「ネットで知り合った人に会うと危険だよ」と、どれだけ頭では分かっていても、「でもこの人しか私の気持ちは分からないんだ」と思えば、リスクを覚悟しても会いに行くのかもしれません。

実際、今回の栃木の事件も、2年前の座間市の事件も、犯人はSNS上ではとても優しく接し、おびき寄せていました。

スマホの使い方を見直すと同時に、子ども達が安心して暮らせる家庭・学校・地域作りが重要になってきます。

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」12月1日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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