フェイクニュースがあふれる現代社会。ファクトチェックを重視する姿勢を身につけよう モバプリの知っ得![74]


この記事を書いた人 稲嶺 盛裕

テレビ・新聞・ラジオ・雑誌などの既存メディアに加え、インターネット上で誰でも意見を発信できるようになった現代社会は情報があふれています。
むしろ、情報が「あふれすぎている」と表現した方がいいかもしれません。

スマートフォン、SNSが発展中だった2010年代前半は「既存メディアが間違った情報を発信しても、インターネット上で訂正し、情報の正確性はどんどん上がっていく」と期待されていました。

しかしながら、スマートフォンもSNSも発展しすぎたためか、情報過多になり「何が本当で、何が間違っているか」が分かりにくい時代になってきています。
この仕組みに乗っかるように、意図的に正しくない情報を流す「フェイクニュース」が世界中で問題となっています。

フェイクニュース時代に私たちがすべきこと、意識することは何かを考えたいと思います。
 

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

フェイクニュースが選挙を動かす

「フェイクニュース」の言葉が注目されたのは2016年ごろからです。

2016年6月にイギリスがEUからの離脱を巡り国民投票が行われました。
その中で、EU離脱派の政治家が「毎週EUに支払う3億5000万ポンドを医療サービスに回す」とアピールしていました。
投票は、僅差で離脱派が勝利。投票後には「3億5000万ポンド」が不正確な情報であった事を離脱派政治家は認めました。

https://mainichi.jp/articles/20160627/k00/00e/030/145000c

さらには2016年11月に行われたアメリカ大統領選でも、「ローマ法皇が、ドナルド・トランプの支持を表明した」「ヒラリー・クリントンが子供を誘拐し、ピザ屋で児童売春させている」などのフェイクニュースが連発。
フェイクニュースを信じた男が、ピザ屋にライフルを持って侵入し、逮捕される事件も発生しています。

「イギリスEU離脱国民投票」「アメリカ大統領選挙」以降も、フェイクニュースは世界中で生産されています。

フェイクニュースは、何も遠い海外の話だけではありません。
9月30日に投開票が行われた沖縄県知事選挙でも、不確かな情報が多く流布しました。

拡散されたフェイクニュースを数え上げればキリがありませんが、そのほとんどは、「デニーが当選すると中国が侵略する」「デニーは大麻を吸っていた」など、玉城デニー候補(当時)をおとしめるものでした。

「つぶやかれ数」で差 沖縄県知事選ツイッター分析 批判・攻撃、依然多く
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-809320.html

私たちの代表を決め、これからの社会の歩みを決める選挙が「フェイクニュース」によって左右されるのは、由々しき事態です。

何度も繰り返しますが、例え同じ候補者に投票することになったとしても、正しい情報を基に判断した1票と、デマや不確かな情報によって決めた1票では、その重みや意味合いが変わってきます。

【関連記事】選挙に向けて広がる「デマ」 モバプリの知っ得![70]
https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-795800.html

今後も選挙の際は特にフェイクニュースやデマに注意し、有権者としてきちんと判断した上で投票する必要があります。

フェイクに対抗する「ファクトチェック」

流布するフェイクニュースに対抗する方法の一つとして「ファクトチェック」が挙げられます。日本語に訳すと「事実確認」となります。
ファクトチェックによって、フェイクニュースを無効化することができます。

最近は新聞やいくつかのWebメディアなどが本腰を入れて、政治家の発言やネット上での言説に対してファクトチェックを行っています。

しかしながらファクトチェックに誤りがあれば、無効化させるどころか、逆にフェイクにお墨付きを与えることになります。ファクトチェックは慎重にやらなければいけません。

そうした構造のため、大量に投下されるフェイクニュースにファクトチェックが追いつかず、結果的に誤情報が根付いてしまっているのが現状です。

さらに最近では正しいファクトチェックに対して「このファクトチェックはフェイクだ!」と、ファクトチェックの正確性を惑わす言説も見られます。
当事者であればともかく、他の人が見ると何が正しいのかが分からなくなります。
現代は情報の見極めが難しくなっています。「こうやれば絶対に見分けられる」といった特効薬もないため、簡単な解決方法はありません。

フェイクニュースやデマの拡散を防ぐためには、一人一人が情報を疑い、ファクトチェックを重視する姿勢が大事です。

怪しい情報、信ぴょう性の低い情報は拡散しない。ファクトチェックを確認して拡散するなど、一人一人が少しだけ行動を変えれば、結果的に情報の精度は上がっていきます。

フェイク側に立つのか、ファクト側に立つのかが問われています。読者の皆様には是非ともファクト側に立ってほしいと思います。
 

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」9月30日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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