<金口木舌>忌野清志郎が示す進むべき道


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 今も支持され続けているミュージシャンの忌野清志郎さんは、8年前の5月に他界した。彼は「この国の憲法9条はまるでジョン・レノンの考え方みたいじゃないか?」という言葉を残している

▼平和を希求する「イマジン」を歌ったレノンさん。かっこいい9条に、安倍晋三首相は自衛隊の存在を明記し、2020年に施行する方針を示した。「戦争の放棄」「戦力の不保持」をうたった9条に、自衛隊をどう位置付けるのか
▼折しも憲法違反と批判を受けた安保関連法に基づき、海上自衛隊の護衛艦が米補給艦を防護する「武器等防護」が太平洋で実施された。政府は新任務の実績づくりを進める
▼去る大戦で、日本軍の被害を受けたアジアの人たちに今の動きはどう映るだろうか。改憲は日本だけの問題ではなく、アジア各国も注視する国際問題でもある
▼終戦から7年後、作家の坂口安吾さんは「拙者は戦争はしませんというのは、この1条に限って全く世界一の憲法」と記した。さらに「軍備や戦争を捨てたって、1等国にも2等国にも3等国にも立身するはずはないが、軍備や戦争を捨てない国は永久に1等国にも2等国にもなるはずがない」とも
▼日本は何を目指しているのか。忌野さんは「戦争はやめよう。平和に生きよう。そしてみんな平等に暮らそう」と説いた。彼こそ明確に進むべき道を示している。