<社説>県のコロナ休業要請 迅速で大胆な経済対策を


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 新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言が沖縄にも拡大されたことを受け、県は23日、遊興施設や学習施設、大型商業施設など7業態に休業を要請した。休業を要請する期間は5月6日までで、県民活動を5分の1に減らす取り組みを一層推し進めていくことになる。

 企業や社会の活動の大部分を停止させてしまうことで経済、暮らしへの影響は避けられない。だが、感染が長引けば外出自粛などの行動制限は繰り返され、経済の回復も遠のくことは間違いない。
 県内でも初めてのクラスター(感染者集団)の発生が沖縄市で確認されている。これ以上、市中感染を広げないために重要な局面にある。大型連休を前にして、大きな人の移動が起きないよう対策の徹底が求められる。感染症の治療や検査に当たる医療従事者を支えるためにも、企業の休業協力への協力と共に、できる限り自宅で過ごすよう努めたい。
 業務の減少や従業員の感染防止の観点から、既に休業を余儀なくされている施設も多い。店を閉じてはいても、休業中の従業員の雇用維持や家賃の支払い、買掛金の納入期限、借金の返済など出費は尽きない。経営者にとって休業は重い決断だ。
 県は休業要請に応じた事業者に「感染症拡大防止協力金」として20万円を支給する。このほか飲食店などへの「緊急支援金」、小売業や認可外保育施設を対象にした「感染症防止対策支援事業」として、それぞれ10万円の支給も発表した。
 国は「持続化給付金」制度を創設し、売り上げが前年同月比で半減した場合に、大企業以外の法人で最大200万円、個人事業主には最大100万円を支給する。自宅待機させている従業員の給与を一部負担する雇用調整助成金についても、交付要件を緩和するなど対策を取っている。
 それでも、事業者の収入源を補うのに十分な水準とは言えない。休業要請に応じた見返りとなる協力金の実施に至っては都道府県や市町村ごとの判断となっており、支給額も自治体の財政力によって差が出ている実態がある。
 感染拡大防止の効果を出すためにも、休業要請と営業補償は本来セットでなければならない。要請に応じた企業の損失の補填(ほてん)は、国が責任を持って手当てすべきだ。
 売り上げが止まった事業者の経営は日々悪化する。雇用を守るためにも、支援策を手元に届けるスピードを重視し、追加の経済対策を大胆に実施してもらいたい。
 緊急事態宣言下で休業や営業自粛が進むことによって、高齢者、障がい者などが必要なサービスを受けられなかったり、インターネット環境がないことから重要な情報が得られず孤立したりすることがあってはいけない。災害時と同様に要支援者への目配りと支援は重要だ。