二転三転する発言を聞くと、いかにも苦しい釈明という印象を受ける。島尻安伊子沖縄担当相が、自身の顔写真入り「カレンダー」を配布していたことが分かった。公選法違反(寄付の禁止)に該当するのでは、と指摘されている。
これに対する島尻氏の釈明が変遷を重ねた。釈然としない思いの県民も多いのではないか。
やはり臨時国会の場で審議されるべきだ。新内閣に対しては、談合で指名停止となった業者から献金を受けていた森山裕農相など、「政治とカネ」をめぐる指摘が相次いでいる。政府・与党は臨時国会召集を見送り、予算委員会の閉会中審査で済ます方針のようだが、それでは新閣僚の資質を吟味することはできない。
安倍晋三首相らの脳裏には昨年の内閣改造後の臨時国会の経験があるとされる。起用したばかりの女性閣僚が「政治とカネ」の問題で相次いで辞任したからだ。だが閣僚の不祥事が沈静化するのを待つというのであれば、そんな姿勢は許されない。安倍内閣は臨時国会を召集し、開かれた場で堂々と論戦をしてもらいたい。
それにしても島尻氏の釈明には疑問が募る。発覚したのは、2009年末から5年間、顔写真入り「カレンダー」を毎年2千~3千枚配布したこと。公選法は有権者への金銭・物品の寄付を禁じており、不特定多数への配布となればそれに抵触する恐れが生じる。すると島尻氏は「後援会の支持者」が配布対象だと主張した。会費を払っている後援会会員への財物配布は「会費の対価」となり、合法であるとの判断が働いたのだろう。
だが09年12月28日のブログでは「欲しいという方は後援会事務所までご連絡を」と呼び掛けていた。不特定多数への呼び掛けと見るのが自然だ。すると今度は「配布したのはカレンダーではなく、ポスターだ」と主張し始めた。カレンダーなら商品性が高く、その配布は寄付行為に該当するとの判断があったのではないか。
だが暦を印刷しているのにカレンダーでないと言うのは無理がある。しかも本人自身がずっとカレンダーと呼んでいたのだから、いかにも急ごしらえの言い逃れとの印象を否めない。
これがカレンダーでないと言うのなら、堂々と国会の質疑でそう答弁すればいい。開かれた場での論戦を聞き、理屈が通るか否か、判断するのは国民であるべきだ。