辺野古の問題で野党第1党の役割は重大だ。民主党の岡田克也代表は今こそ一歩踏み出し、新基地建設に反対してもらいたい。
先月末に来県した民主党の細野豪志政調会長が米軍普天間飛行場の移設問題で「辺野古移設が本当に正しいのか検証に入りたい。沖縄の皆さんがこれだけ反対している。やり方が間違っていないか再検証すべきだ」と述べた。
名護市辺野古への移設を容認してきた党政策を見直す可能性に言及したものだ。細野氏はこれまで移設に否定的見解を示していたが、政府が工事を強行したこの時期に再検証する考えを示したことは意義がある。政策を正式に見直すよう求めたい。
普天間返還と辺野古をめぐる問題は2009年9月の民主党政権発足が大きな転機となったことはあらためて言うまでもない。
鳩山由紀夫首相(当時)が普天間移設問題で「最低でも県外」を掲げたが、外務、防衛官僚らが抵抗する中で本格的な議論には至らず、民主党政権は1年足らずで辺野古移設に回帰した。
県内では時の仲井真弘多知事が県外移設を公約するなど移設反対の世論が高まったが、防衛省は手続きを強行。12年12月の第2次安倍政権発足後は民意無視の姿勢がより鮮明となり、仲井真氏が公約を翻して埋め立てを承認した。
安倍政権は力ずくで作業を進めているが、当然ながらこの現状は民主党にも大きな責任がある。
岡田代表は先月の翁長雄志知事との会談で、作業の強行について「政府には沖縄に寄り添って協議する姿勢がない」と厳しく批判した。だがその一方で「対案がない状況の中で無責任に辺野古反対とは言えない」と辺野古移設容認の立場を堅持する考えも示した。
岡田氏はかつて県外移設を唱えながら鳩山政権の外相就任後、辺野古容認に転じた過去がある。その発言には対米追従の呪縛から抜け出せない状況もうかがえるが、極東最大の米空軍嘉手納基地など数多くの軍事拠点を残す中での辺野古の海兵隊新基地計画は、「抑止力」の観点からも必然性に乏しいことを党内でぜひ冷静に議論してほしい。
民主党は「消費者や生活者の立場に立つ改革政党の原点」で党を再生すると掲げている。民主主義や法治主義に反した手続きが進む辺野古の現状に際し、立脚すべき立場は明らかなはずだ。