<社説>島ぐるみ会議訪米 辺野古撤回へ行動継続を


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 新基地建設に反対する民意を米国で幅広く訴えたことの意義は大きい。今後も戦略的かつ波状的に働き掛けていくことが重要だ。

 辺野古の新基地建設に反対する政財界の有志や有識者が共同代表を務める「沖縄『建白書』を実現し未来を拓く島ぐるみ会議」が訪米し、関係者に協力を求めた。
 共同代表の一人で訪米団の団長を務めた呉屋守将氏(金秀グループ会長)らが手応えを語ったのは、米労働総同盟産別会議(AFL・CIO)など労働団体からの反応だった。
 AFL・CIOは全米最大の労働団体で、米オバマ政権の与党民主党の支持母体だ。同団体のファインゴールド国際部長は「(沖縄の)平和への闘いを広めていきたい」などと語った。沖縄にとって非常に心強い協力表明だ。
 AFL・CIO傘下のアジア太平洋系アメリカ人労働者連合(APALA)は、新基地建設に反対し県民と連帯する決議をした。オバマ大統領や議会宛てに手紙を送る運動などが盛り込まれており、運動の広がりが注目される。
 共同代表の大城紀夫連合沖縄会長は、AFL・CIOと交流がある連合本部に協力を求める考えを示した。AFL・CIOと連合の協議では過去に、沖縄からの要望で日米地位協定の問題が提起されたことがある。辺野古の問題で両国のナショナルセンターを巻き込んだ取り組みが模索できないか。関係者の尽力に期待したい。
 訪米団はカリフォルニア州選出の上下院議員スタッフや、9月に辺野古新基地建設に反対する決議を可決したバークレー市議会の議員も訪問した。サンフランシスコ市議らから同様の決議に前向きな発言があったという。ただ関係者を後押しするためには、沖縄からの継続的な行動も求められよう。
 前知事が県外移設の公約に反して辺野古埋め立てを承認して以降、米国では辺野古移設に懐疑的だった関係者の関心が遠のいたという側面もある。あらゆる手段による新基地建設阻止を掲げる翁長雄志知事が、具体的な権限を行使している現状をより正確に伝えていかねばならない。
 沖縄に極東最大の米空軍基地などの軍事拠点がある中、海兵隊新基地の「抑止力」が疑問視されている点なども具体的に説明したい。民意に反し道理に合わない米軍基地計画の撤回に米関係者を動かしていくため、知恵を絞りたい。