<社説>子の貧困29.9% 県民一人一人が向き合おう

 沖縄の子どもたちをめぐる厳しい現状があらためて浮き彫りとなった。官民挙げて新たな支援の枠組みを早急につくりたい。

 県が独自に算出した県内の子どもの貧困率が発表された。29・9%と非常に深刻な数字だ。
 国の算出基準に基づき、平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす18歳未満の割合を示した数値だ。全国の数値は最新の2012年で16・3%だから、沖縄はその2倍近い。全国最悪の数字だとみられる。
 県が独自に貧困率を算出した意義は大きい。今回は同時に発表した調査結果と併せて中間報告との位置付けだ。3月までに策定する最終報告に向け、さらに詳細な検討を求めたい。
 県は子どもの貧困対策として、30億円規模の基金創設も検討している。より即効性の高い施策が求められる。
 県は貧困率調査と併せて、家庭の経済状況と子どもの生活実態などに関する調査結果を発表した。それによると、家庭環境が子どもの成長や進路選択に大きく影響している実態がうかがえる。
 驚かされるのは、過去1年間に経済的理由で食料を買えないことがあったという回答が、貧困世帯の約50%に上っていることだ。ショッキングな数字であり、子どもの学年が上がるにつれ、状況が厳しくなる傾向も表れた。
 飽食による健康危機や大量の食品廃棄などが問題化する一方で、多くの子どもたちが空腹を我慢している。一刻も早くその是正に取り組まなければならないが、調査では貧困家庭の約半数が就学援助を利用していないなど制度の周知不足も浮かび上がっている。
 貧困世帯は地域社会との関わりが希薄で、子育てに関する相談相手も少ないといった課題も報告された。地域や行政機関などの積極的な関与によって、貧困世帯の孤立を防ぐとともに、さまざまなセーフティーネットをきちんと機能させていかなければならない。
 調査によると、貧困世帯では4人に1人の親が、子どもの小学校入学時に大学進学は困難と判断している。家庭の経済的事情によって、子どもの将来が左右されるような状況の改善なくして、沖縄社会の健全な発展などあり得ない。
 子どもの貧困問題の解消は、県民一人一人に突き付けられた重い課題だと再認識したい。



琉球新報