<社説>スマホ沖縄ルール 家庭の関与で悪影響防ごう


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 パソコン機能を持つスマートフォンなどによるトラブルに児童生徒が巻き込まれたり、片時も手放せない依存状態に陥ったりするケースが全国的に増えている。

 長時間使用による健康面への悪影響も懸念されている。
 こうした中で県内の実情と課題を踏まえ、安全で適切な使い方のルールを探るシンポジウム(琉球新報社主催)が催された。県教委、小中、高校、特別支援学校の各PTA連合会が共催し、沖縄セルラー電話が特別協賛した。
 教育行政、教員、保護者と業界が連携し、家庭がしっかり関与するルールづくりを急ぐべきだとの認識で一致した。意義は大きい。
 県PTA連合会は、子どもの使用時間などのルールを定めることを急ぐ方針を示した。県内の実情に合った「スマホルール」の沖縄モデルを確立し、その共有に向けた取り組みを継続してほしい。
 シンポでは自宅で夜遅い時間に生徒が使った際のトラブルが報告された。無料通信アプリLINE(ライン)でやりとりした女子生徒同士の小さな誤解がエスカレートし、「きえろ」と攻撃したケースがあった。スマホが子どもの尊厳を傷つける「凶器」になりかねないことを認識せねばならない。
 深夜、未明までスマホを手放さないために親が取り上げたところ、大暴れした子が「ラインしないと居場所がなくなる」と叫んだ。すぐに返答しないと仲間から疎まれる「ライン外し」への強迫観念から依存状態になった例だ。
 昨年3月、中学生有志が開いたスマホサミットで「おかやま宣言」が出された。(1)勉強じゃ! スマホ手放せ 中学生(2)大丈夫? 自分自身に問いかけて(3)その画面で築いた友情は本物ですか?-。児童生徒が主体的に使い方を考える取り組みは示唆に富む。
 ルールづくりの鉄則として「子どもと一緒に」「守れる約束を」「譲れない条件を親が一つ出す」「破った際のルールをつくる」が提唱された。中学生と高校生の討論者は「自分たちの意見も聞いてほしい」と要望した。
 最初が肝心だ。スマホを契約する際に親子でしっかり話し合い、使っていい時間帯や長さを決めることが大切だろう。学校でも長時間使用の弊害などを共有する学習を深めねばならない。適切に利用する判断力を、児童生徒に身に付けさせるのは大人の役割だ。