<社説>遺骨収集法案 「国の責務」を早急に果たせ

 遺族の高齢化は進んでいる。作業をとにかく急ぐべきであることは言うまでもない。

 戦没者の遺骨収集を「国の責務」と明記し、収容を加速させる戦没者遺骨収集推進法案を参院が可決した。衆院での審議を経て今国会で成立する見通しだ。
 法案は2016~24年度を遺骨収集の「集中実施期間」に掲げた。国が遺骨収容を推進するための基本計画を策定し、関係国との協議や鑑定体制の整備を進めることを定めている。情報収集や遺骨の送還などの実務は、新たに国が指定する法人が担うことも明記した。
 これまで国は1952年の「遺骨送還に関する閣議了解」などに基づき、第2次大戦中に死亡した戦没者の遺骨収容を進めてきた。だが法的な位置付けが曖昧で、作業が進まない一因とも指摘されていた。今回、法的根拠が明確化されるのは前進だが、今後の作業を具体的にどう迅速化させていくのかは不明確な部分も多い。
 国内外の戦地での戦没者約240万人のうち、収集されたのは127万人分にとどまり、113万人分は未収集だ。海に眠る遺骨も多く、現状で収集可能なのは最大約60万人分とされるが、2012~14年度の年間収集数は1200~2500人分程度にすぎない。
 過酷な地上戦があった沖縄で、収集された遺骨はことし1月末現在で18万7250人分だ。まだ約850人分が残され、県の統計ではさらに未収集があるとされる。
 時間の経過とともに遺骨に関する情報収集は難しくなっている。新法を受け、作業に必要な人員を今後どう確保し組織をどう整備し直すのか、国は早急に遺骨収集の具体的な工程を示すべきである。
 収集作業の迅速化とともに、遺骨の身元特定も大きな課題だ。
 国は遺骨のDNA鑑定を03年から始めたが、県内で身元が判明したのはこれまで4件にとどまる。だが見つかった遺骨が全て鑑定されるわけでなく、身元判明につながる遺品があることなどが鑑定の条件となっている。条件を緩和し、基本的に全ての遺骨を鑑定すべきだ。県などが求めるDNA情報のデータベース化も早急に実現してもらいたい。
 戦後70年が過ぎた。もはや一刻の猶予も許されない。国策の犠牲となった戦没者や遺族の無念に応え、「国の責務」の具体的な成果を早急に示すべきだ。



琉球新報