<社説>参院選きょう投開票 民主主義問う1票を 沖縄の針路見据えよう


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 沖縄、日本の未来を大きく左右する第24回参議院議員選挙がきょう10日に投開票される。

 沖縄選挙区にとって最大の争点は米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設の是非であり、日本全体では憲法改正を問う重要な選挙だ。
 民主主義とは何か、国民にとって憲法はどうあるべきか、という重大な問題に有権者一人一人が正面から向き合う機会となる。
 沖縄、日本の針路を見据え、将来を託せる候補者に1票を投じたい。

 問われる辺野古移設

 名護市辺野古移設の新基地建設は、国が県を相手に起こした代執行訴訟が今年3月に和解したことで、工事は現在中断している。
 県が是正指示の適否を求めた国地方係争処理委員会は適否を「判断しない」との決定を出し、県と国に協議を求めている。しかし日本政府は「辺野古移設が唯一の解決策」との姿勢を変えていない。
 辺野古移設については多くの県民が反対の意思を示している。この数年の県民世論調査は毎回、7~8割の人が反対と回答する結果が出ている。琉球新報と沖縄テレビ放送が今年5月30日~6月1日に実施した世論調査でも83・8%が辺野古移設に反対した。これまでで最も高い数値を示している。政府の強行姿勢に県民の拒絶反応が高まりを見せている証左だ。
 辺野古移設は工事の継続あるいは中止という結果によって、沖縄の民意・自己決定権を踏みにじるのか、それとも尊重するのかという民主主義の本質に関わる問題をはらんでいる。いずれにしても選挙結果は辺野古移設に対する県民の意思を明確に示すことになる。
 もう一つの大きな争点は憲法改正の是非だ。憲法改正手続きは衆院で100人以上、参院で50人以上の賛同があれば改憲案を提出できる。両院で3分の2以上が賛成すれば、国民投票にかけられ、過半数の賛成で改正が決まる。衆院では自民、公明両党の議席は3分の2以上を占めており、今参院選で改憲賛成派が3分の2を占めれば、改憲は実現可能だ。
 安倍晋三首相は3月の参院予算委員会で「在任中に(改憲を)成し遂げたい」と明言した。4月のテレビ番組では憲法9条の改正に関して「ずっと後回しにしていいのか」と踏み込んでいる。
 しかし6月の党首討論会では改憲について「条文をどう変えるかを決めるのは選挙ではなく国民投票だ」と述べ、争点化を避けているとの印象を抱かせた。

 現実味帯びる改憲

 自公両党で参院(定数242)の3分の2を占めるには、定数の半分が改選される今回の参院選で計86議席を獲得する必要がある。しかし野党で改憲に積極的なおおさか維新の会、日本のこころを大切にする党の非改選議員を加えると、78議席に下がる。
 さらに無所属議員の協力も得れば、3分の2は現実味を帯びてくる。今選挙の争点から外れるはずがない。重要な争点だ。有権者は改憲への道を開く重要な選挙であることを認識した上で、自身の1票を真剣に投じる必要がある。
 安倍政権は2014年7月、歴代内閣が憲法解釈で禁じてきた集団的自衛権の行使について、容認へと解釈を変更する閣議決定をした。15年9月に行使を可能にする安全保障関連法を成立させている。
 安倍首相は中国や北朝鮮の脅威なども挙げて必要性を強調し、野党第1党の民進党などは「立憲主義」の破壊と批判している。こうした安倍政権の決断についても参院選で審判を下すことになる。
 今参院選から選挙権年齢が引き下げられ、18、19歳が新たな有権者となる。全国では約240万人、県内は約3万3千人が投票に加わることになる。選挙は民主主義の根幹をなす。若い世代は棄権することなく、自身の将来のためにも投票権を行使してほしい。