<社説>着陸帯建設にノー 区民の声聞き建設中止を


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 政府は住民の切実な声に耳を傾けるべきだ。ヘリパッド建設に対し、東村高江区の住民の80%、国頭村安波区の52・5%が「反対」の意思を示した。

 本紙が実施したアンケートへの回答である。特にヘリパッド2施設が完成し騒音被害が深刻な高江区の拒絶姿勢は強固だ。賛成は1人もいない。「分からない」20%を含めて、建設反対は住民総意といっていい。
 高江区ではヘリパッド完成後に始まったオスプレイの飛行訓練で、夜間の騒音は24倍に激増した。
 「高江に住めなくなる。夜間の騒音が遅くまで続き眠れない」「夜中の11時までヘリが住宅の上を飛んでいる」。アンケートの声は、夜も眠れぬ人権侵害を訴えている。騒音を計測した沖縄防衛局は住民の訴えを無視し、新たなヘリパッド建設に強硬着手した。
 両区住民は辺野古新基地建設にも拒否感を示した。高江区の77・8%、安波区の52・5%が新基地に反対と回答。ヘリパッド反対とほぼ同数で、辺野古新基地と連動したオスプレイ運用への強い警戒感を浮き彫りにした。
 アンケートでは「自然破壊は許せない」「世界自然遺産を邪魔する」との指摘もあった。北部訓練場を除外した区域が国立公園化することに「駆け引きに利用されている」「矛盾を感じる」と疑問視する声も目立った。
 ヘリパッド建設は、オスプレイ運用を日本政府が隠蔽(いんぺい)し進めてきた。在日米軍は7月29日の声明で、ヘリパッドの主要な運用機種がオスプレイであることを改めて明らかにしている。
 辺野古新基地とヘリパッド建設は表裏一体で進められている。一体的運用により、オスプレイのヘリパッドへの飛来、騒音・環境被害が増すことは明白だ。
 憲法学者は辺野古新基地建設について「地元行政に多大な影響を及ぼし住民自治を制限する。辺野古基地設置法が必要」とし、「憲法95条に基づき県民、名護市の住民投票による承認が必要」とも指摘している。
 憲法95条は、国策のため特定の自治体に負担を及ぼす時は住民の承認が必要とする趣旨だ。辺野古新基地と一体的運用がなされるヘリパッドも同様に解されるべきだ。
 政府は憲法95条の趣旨に基づき、県民、住民の多くが反対する辺野古新基地、北部訓練場のヘリパッド建設を中止すべきだ。