第3次安倍再改造内閣が発足した。在沖米軍基地問題に関係する閣僚を見ると、安倍政権の方針に変わりがないことを打ち出した顔ぶれである。再改造内閣が辺野古新基地建設強行や、東村と国頭村に広がる米軍北部訓練場でのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の工事を急ぐことは目に見えている。沖縄の民意に背を向けた布陣には、失望を禁じ得ない。
菅義偉官房長官のほか、岸田文雄外相、石井啓一国土交通相が留任した。いずれも、沖縄の基地負担軽減に後ろ向きな閣僚である。沖縄の基地問題に真摯(しんし)に向き合う姿勢を感じ取ることは一切できない。沖縄の民意と対峙(たいじ)することをいとわない安倍晋三首相の意思の表れであろう。
7月の参院選沖縄選挙区では沖縄担当相を務めた島尻安伊子氏が落選したばかりである。安倍政権の辺野古移設計画は2014年以降の主要選挙で、ことごとく否定された。その反省が在沖米軍基地に関係する閣僚人事に反映されないのはどういうことなのか。
菅官房長官が沖縄基地負担軽減担当を引き続き兼任することは、理解に苦しむ。沖縄が望まない辺野古新基地建設を「負担軽減」と言い張り、辺野古移設が「唯一の解決策」と繰り返していることは、職責放棄以外の何物でもない。
負担軽減とは逆のことをやりながら、あたかも沖縄のために取り組んでいると装うにすぎない役職は廃止すべきである。
防衛相には安倍首相に近い稲田朋美前自民党政調会長を充てた。稲田氏は6月、米軍普天間飛行場の返還や在沖米海兵隊のグアム移転は、普天間飛行場の「辺野古移設が前提」と明言している。宮古・八重山への自衛隊配備を強行する懸念は払拭(ふっしょく)できない。
稲田防衛相は憲法9条改正論者で、極東国際軍事裁判(東京裁判)の在り方を疑問視する。中韓両国からも警戒感が強まっており、その起用は沖縄だけでなく、中韓両国との関係面からしても疑問だ。
沖縄にとって歓迎できる内閣ではない。翁長雄志知事にはこれまで同様ひるむことなく、安倍政権を翻意させる努力を続けることを望みたい。
沖縄担当相には元国土交通副大臣で、初入閣の鶴保庸介参院議員(和歌山選挙区)が就任した。翁長知事と早めに会談し、県民との対話も深め、よりよい沖縄づくりに力を尽くしてほしい。