「沖縄の基地負担の軽減」はまやかしだ。逆に基地負担は増えている。県軍用地転用促進・基地問題協議会(軍転協)総会で挙がった日米政府への新たな要請項目案の多さは、そう痛感させる。
新規の要請案を列挙すると「米軍属女性殺害事件を受けた再発防止策」「基地内文化財調査拒否の改善」「学校空調維持費補助の継続」「嘉手納基地が汚染源と見られる有機フッ素化合物対策」などだ。さらに「伊江島補助飛行場の着陸帯工事・オスプレイ、F35戦闘機の運用情報の開示」「宜野座村のオスプレイ騒音激化対策」も挙がった。
これら新規項目とは別に「普天間飛行場返還・移設」「日米地位協定の抜本改定」が横たわる。負傷者や逮捕者を出し、緊迫化するヘリパッド建設問題もある。
基地負担は確実に増えている。政府の「基地と沖縄予算のリンク」に従えば、沖縄予算は大幅増額して当然だ。
なぜ基地負担は増え続けるのか。基地問題の原因となり、解決を阻んでいるのが日米地位協定だ。
米軍人・軍属事件の捜査、訴追を阻む特権。オスプレイ、F35など危険で騒音の大きい新機種の配備を拒めぬ米軍の基地自由使用。基地内の立ち入り調査拒否。これらの特権を米軍にフリーハンドで与えるのが日米地位協定である。
数年前に要請項目とされた枯れ葉剤問題は、日米政府が口をつぐんだまま近く幕引きとなる見通しだ。嘉手納基地周辺の有機フッ素化合物も基地内調査を拒否されたまま、闇に葬られるのか。
オスプレイ、新配備のF35戦闘機の運用を目的に伊江島補助飛行場の着陸帯が増強される。辺野古新基地、北部訓練場のヘリパッドを含め、本島北部の基地建設、運用強化が歯止めなく進んでいる。
米海兵隊「戦略展望」は「辺野古や北部訓練場が刷新され、理想の訓練場へ変革し、在沖海兵隊の恒久基地とする」と記する。辺野古新基地建設のキャンプ・シュワブも「すさまじい変化を遂げる」と強調する。
米軍が「すさまじい変化」と自認する北部の基地強化を、日本政府は一言も地元に説明していない。
米軍に特権を与える地位協定を変えること。さらに非公開の闇に包まれる日米合同委員会などの日米協議に沖縄の地元自治体を参加させるなどの改善を図らない限り、「基地負担の軽減」は進まない。