<社説>幼児シート不使用 安全へ向け機運高めよう

 運転中に子どもを後部座席で自由に遊ばせたり、助手席で大人が膝に乗せていたりする家族連れを見て驚くことがある。

 県内のチャイルドシート使用率は全国平均の64・2%を18・2ポイント下回る46%で、全国で最も低いことが日本自動車連盟(JAF)と警察庁が全国で実施したチャイルドシート使用状況調査で分かった。
 使用率は年々上がっているが、全国に比べると低い数値で推移している。子どもの年齢が上がるにつれて使用率が低下する傾向もみられるという。
 未使用の場合は「車両シートにそのまま着座」が25・5%で最も多く、次いで「保護者の抱っこ」が14%、「チャイルドシートにそのまま着座」が8%だった。
 安全のためにチャイルドシートが有効なのは周知されている。しかし、子どもが嫌がる、費用が掛かる、設置が面倒という理由でチャイルドシートを使わない保護者も多い。
 車が時速40キロのスピードで衝突した場合、車内の乗員には自分の重さの約30倍の力がかかるといわれている。
 体重5・5キロの赤ちゃんでは瞬時に約150キロの重さが加わる。これはビルの3階から車ごと落下させた時と同じ衝撃だという。体重10キロの子どもを膝の上で抱いていても瞬間的に300キロになり、とても親の手では支えられない。
 国土交通省の資料によると、チャイルドシートをしない子どもの死亡重傷率は使っている子どもの約2・1倍高い。
 後部座席でチャイルドシートを使用していれば、事故の衝撃から身を守ることができるばかりでなく、同乗者との二次衝突も防ぎ、車外放出の割合も少なくなる。
 チャイルドシートがありながら、適正に装着していない例もある。全国8拠点で調べると、固定金具やベルトが正しく取り付けられていたのは24・6%と4分の1でしかなく、多くが腰ベルトの締め付けが不足していた。
 県内でのシートベルトの着用率も運転席で95・8%、後部座席での着用率は27・6%でそれぞれ、全国平均の98・4%、36%を下回った。安全に対する認識が甘いと言わざるを得ない。
 県警、交通安全協会、自動車業界を上げて着用率向上に取り組む機運を高めねばならない。救える命が失われることがあってはならない。