<社説>オスプレイ確認書 危険性生々しく裏付けた


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 「大惨事を引き起こしかねない」という文言が繰り出されることに、震え上がるような恐怖感と不安が湧く。乗員だけでなく、市民にも死傷者が出る墜落を想定したと受け取るのが普通の感覚だろう。

 米海兵隊のMV22オスプレイの緊急時の対処手順などをまとめた米海軍のチェックリスト(確認書)の全容が明らかになった。
 操縦士らが携行する文書は、市街地を含む沖縄の空を飛び交う不気味な機体の危険性をまざまざと照らし出す。オスプレイの訓練飛行を即刻やめ、沖縄から撤収するよう求めたい。
 確認書の中で、空中給油中に給油機から伸びるホースや一部装備が機体に衝突する可能性があることが明記されている。
 オスプレイの給油管と給油ホースが分離できない場合、まず、給油機との距離を縮め、ホースを短くする。寸分の誤差も許されない異常事態への対処法である。
 さらに、オスプレイ側の求めで、給油機がホースを「ギロチン(切断)」する。給油管を延ばしたままホースを引きずり、飛行を続ける事態も想定している。
 確認書は「注意」の項目で、「切り離され、むちのようにしなったホースがプロペラに絡み、大惨事を引き起こすかもしれない」と警鐘を鳴らしている。
 墜落を回避するため、「ギロチン」という生々しい表現を用いるのは、軍隊特有の直截(ちょくせつ)さなのか。墜落の不安にさらされている県民には一切、説明されてこなかった衝撃的な内容である。
 垂直離着陸と水平飛行の機能を持ち合わせるオスプレイは機体構造が複雑だ。プロペラと給油口が近く、乱気流や操縦ミスなどで給油機との位置がずれれば、瞬時に給油ホースがプロペラに巻き込まれ損傷する危険性が高い。
 通常時と緊急時を分けて記載する確認書の内容は操縦の難しさと、一歩間違えば墜落などの重大事態を招く危険機種であることを裏付けている。
 昨年12月、名護市安部の海岸に墜落したオスプレイの機体は原形をとどめなかったが、給油管は収納されずに延びたままだった。「大惨事」につながりかねないホース切断だった疑いもある。
 米軍の言いなりのまま、飛行訓練を認める防衛省は危険性をどれだけ把握しているのか。このまま陸上自衛隊が導入すれば、国民の安全に背を向けることになる。