<社説>松本浦添市長再選 市民生活向上の公約実現を


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 那覇軍港移設、西海岸開発の手法などが争点となった浦添市長選は、松本哲治氏=自民、公明推薦=が大差で再選を果たした。

 現職の強みを発揮し、市民生活の向上に力点を置いた政策が浸透した。軍港移設受け入れと一体となった西海岸開発の主張が一定程度信任を得た形だ。
 翁長雄志知事ら「オール沖縄」勢力が支援した前市議の又吉健太郎氏の市政刷新の訴えは広がりを欠いた。軍港移設の是非を問う市民投票実施を掲げたが、対立軸にならなかった。
 浦添市の平均年齢は40・4歳で、県内自治体で4番目に若い。子育て世代が多く、保育所への入園を待つ待機児童数は231人で県内3位の多さだ。待機児童解消の取り組みは急務である。
 松本氏は障がい児支援の新施設整備や給食費無料化の拡充なども公約に掲げた。財源をしっかり確保し、公約実現に努めてほしい。
 西海岸開発を巡り、松本氏は現行計画見直しを主張し、那覇港管理組合との協議が進んでいない。経済活性化の潜在力がある西海岸開発を軌道に乗せる松本氏の指導力と調整力が問われる。
 初当選を果たした前回、松本氏は既成政党の支持を得ず、「市民主体の政治」の実現を訴えていたが、那覇軍港の移設反対の公約を覆して受け入れにかじを切った。任期途中から自民、公明が与党となり、松本市政は様変わりした。
 1974年に那覇軍港返還が決まってから43年がたつ。米軍が2003年から寄港数を発表しないのは遊休化の批判を避けるためだろう。移設なき返還こそが沖縄の県益、浦添の市益にかなうのではないかという疑念は拭えない。
 松本氏は軍港移設反対の公約破棄への市民の批判が根強いことを忘れてはならない。今後も市民への丁寧な説明を尽くすべきである。
 軍港移設を容認する翁長知事を「対立点はない。支持する」と述べるなど、又吉氏との違いを消す戦術も奏功した。浦添入りした自民党国会議員らが企業からの集票など組織戦を展開したことも勝因であろう。
 宮古島市長選に続き、翁長知事を支える「オール沖縄」勢力は手痛い敗北を喫した。念願だった保守系首長からの市政奪還は果たせていない。浦添市長選の敗因をどう総括するのか。辺野古新基地を巡る安倍政権との対立が激化する中、体制立て直しが問われよう。