安倍政権の反「法治主義」は目を覆うばかりだ。民意も、許可制度も無視する恥ずべき行為に強く抗議する。
沖縄防衛局は辺野古新基地建設に向け、海底の掘削(ボーリング)調査を続けている。県の岩礁破砕許可は3月末で切れた。国が無許可で掘削を強行しているのだ。
県の「岩礁破砕取り扱い方針」によれば、県との協議を経て知事が掘削調査の許可を「要しない」と判断すれば、許可申請は必要ない。だが、防衛局は県と協議していない。このため、許可を「要しない」との判断も出ていない。国の掘削調査は明らかに不当である。
国は岩礁破砕許可を得る必要がないため、協議も行う義務はないとしている。名護漁業協同組合が工事区域だけでなく、周辺の臨時制限区域の漁業権放棄を決議したことで、岩礁破砕許可の前提となる漁業権は自然消滅したというのが理由である。あまりに乱暴だ。
1985年の政府答弁書は「漁協の総会で『共同漁業権の一部放棄』が議決されたとしても、そのことにより漁業権が当然に変更されるものではない」としている。国自身が漁協の議決による漁業権の自然消滅を否定しているのだ。
国は辺野古新基地建設を巡り「行政の継続性」を挙げて建設の妥当性を強調している。ならば、「行政の継続性」の観点から85年答弁書に沿って対応すべきだ。
国の一貫性のない対応はまだある。辺野古新基地と同じく漁協が漁業権放棄を決議した那覇空港第2滑走路建設工事で、沖縄総合事務局は岩礁破砕許可の更新を申請している。漁業権は存続しているということだ。
防衛省は2015年、翁長雄志知事の海底作業停止指示の執行停止などを求めた申立書で「他事業との公平性」を理由に挙げた。漁業権が那覇空港滑走路工事で存続し、辺野古新基地建設では消滅するのでは「公平性」に反する。
ルールをねじ曲げてでも辺野古新基地建設を強行する国の姿勢は、異常としか言いようがない。さまざまな理由を並び立てても、作業強行を正当化できるものは何一つない。
正当性は県にある。国が行政指導に応じる可能性は低く、一刻の猶予も許されない。県は国の横暴を早急に止めるため、埋め立て承認撤回など、「あらゆる手段」を行使する時だ。