外国軍の基地運用に関し、地元の意向の反映と国内法の適用は、主権国家として当然の権利だ。
翁長県政は、米軍の運用や米軍関係者の身分を定めた日米地位協定に関し、2000年の稲嶺恵一県政による11項目の改定要求に新たな要求内容を加えた独自の改定案の素案をまとめた。
第一に、米軍機墜落などを想定し、基地外で起きた事件・事故で米軍の財産でも日本側が捜査、差し押さえできることや、事故現場を日本側が統制する仕組みを求める。04年の沖縄国際大ヘリ墜落や、昨年の名護市安部のオスプレイ墜落の際、米軍が基地外で規制線を張り、日本側当局の捜査を拒んだことを受けて盛り込んだ。
イタリア国内の全米軍基地は、イタリア軍司令官の下に置かれている。米軍機事故の検証もイタリア側が主導権を持つ。これが主権国家としてあるべき姿である。米国を上位に置く日本はイタリアを見習うべきだ。主権侵害を許してはならない。
第二に、基地内でも用途の変更や埋め立て、大規模な工作物新設などの計画があれば、関係自治体と協議し、その意向を尊重することも新たに求める。
県知事選、名護市長選、国政選挙で繰り返し名護市辺野古の新基地反対の民意が示されているにもかかわらず、新基地建設が進められていることなどを踏まえた要求である。
第三に、返還跡地から汚染物質が出て、跡地利用が滞る事例が相次いだことから、米軍が基地の使用履歴を日本側に提供することも要求する。
米専門家によると、日米地位協定は環境に対する認識が薄かった1960年に結ばれた。米国では基地内の環境汚染が確認されると、政府、州政府、地方自治体の環境担当者と軍の4者でつくる四者協議会が浄化作業の内容について協議する。原状回復が十分と判断できるまで相互で厳しく監視し徹底させる。米国内の基準に合わせた改定要求は妥当である。
ドイツの米軍基地に適用するボン補足協定は、米軍の原状回復義務を明記している。ドイツで認められているのに、日本で認められないはずはない。
日本政府は、自国民を守るため主権を行使して県の地位協定改定要求を実現すべきだ。