米海兵隊は、環境保護団体の指摘や住民の訴えを受け、ハワイ島ウポル空港での垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの訓練を大幅に削減することに合意した。
昨年、オスプレイは名護市安部で墜落した。米軍は原因究明がされぬまま、欠陥機を使った訓練を再開させた。沖縄では地元の声を無視するが、米国内では住民や環境への影響を考慮する米軍の二重基準ぶりが際立つ。
このまま沖縄で訓練飛行を続ければ、人命に関わる重大事故が起きかねない。ハワイで実現したように、沖縄でも民意に従い、オスプレイの訓練中止と一刻も早い配備撤回を求める。
ハワイ地元紙によると、自然環境保護系法律団体アース・ジャスティスの調査で、1~3月の3カ月間で、オスプレイのウポル空港使用は800回超を記録し、環境影響評価に反していた。この団体が環境影響評価によって年25回に使用が制限されている点を指摘したところ、海兵隊が環境影響評価に従うことに合意したという。
そもそもオスプレイは重大事故が突出している。米海兵隊によると、2012米会計年度(11年10月~12年9月)から16会計年度(15年10月~16年9月)までのオスプレイのクラスA(200万ドル以上の損害や死者)事故のうち、10万飛行時間当たりの事故率は3・44件。同じ5年間の米海兵隊の航空機全体の2・83件を上回る。
オスプレイが普天間飛行場に配備される2カ月前に、米四軍調整官はオスプレイのクラスAの事故率は他の航空機よりも低く「最も安全な航空機」と説明してきたが、実態は全く逆だということを数字が示している。
墜落など重大事故を起こす理由は欠陥機だからである。昨年12月、夜間の空中給油訓練中にプロペラが給油ホースに接触して損壊、名護市安部の浅瀬に墜落し大破した。オスプレイの元主任分析官は「ヘリモードで補給することができないという事実は、予期されなかった航空機の欠陥である」と述べている。同じような墜落事故が再び発生するとも強調している。
米軍はこの欠陥機の飛行を、墜落事故からわずか6日後に全面再開した。もし米本国なら、原因を究明するまで飛行再開しないだろう。本国の基準すら適用しないので県民は撤退を求めているのだ。