日台漁業協議 地元漁民置き去りにするな

 尖閣諸島を含む周辺海域の漁業権をめぐる日台漁業協議の第2回予備協議が28日にも開催される。協議を前に県漁業協同組合連合会と県漁業協同組合長会が25、26日、東京で要請を展開した。県内漁業関係者の頭越しに協議が進められることへ危機感を抱いた両団体の行動は理解できる。
 

 日本側が尖閣諸島をめぐる中国と台湾の連携を警戒するあまり、漁業権問題で台湾に譲歩する可能性が指摘されているからだ。具体的には早期解決のために2000年に発効した日中漁業協定の内容を日台間にも適用する可能性もあるという。
 同協定では北緯27度以北に両国の漁船双方が操業できる「暫定措置水域」を設置しているが、尖閣諸島を含む北緯27度以南、東経125度30分以西は協定を適用していない。これに対して県内漁業団体は日本が主張する尖閣諸島を含む排他的経済水域の地理的中間線を基本に交渉するよう求めている。
 台湾は03年、尖閣諸島を含む海域を含めた「暫定執法線」という境界線を敷いた。日本は認めていないが、台湾当局はその範囲内で漁船の操業を見守っている。しかし、県内の両団体は台湾漁船はその境界線を越えて宮古、八重山の先島諸島の周辺で違法操業をしていると指摘する。昨年5月には宮古島南東の排他的経済水域で無許可操業していた台湾はえ縄漁船を、水産庁が拿捕(だほ)している。
 協議で日本が日中漁業協定を台湾にも適用する形で決着させれば、27度以南の操業を黙認することになる。日本が認めていない暫定執法線内の操業にお墨付きを与えることにもなり、県内漁業団体が要請で「沖縄県の漁業者が生活の場を失うことになりかねない」と訴えるのは当然だ。
 日台の協議は1996年から始まり、2009年に第16回協議を最後に途絶えていた。台湾の馬英九総統が昨年提起した「東シナ海平和イニシアチブ」では、尖閣諸島の主権争いの棚上げと資源の共同開発を掲げている。馬総統の提起も踏まえ、協議が東シナ海を平和の海とするための契機となってほしい。
 日本政府は漁民を置き去りにして、交渉を政治的駆け引きの場にしてはならない。主人公はあくまでも漁業関係者だ。日台両当局は県内漁業団体の切実な声にも耳を傾け、双方の漁民が納得できる共存共栄の道を探ってほしい。