<社説> 国連で辺野古議論 沖縄差別やめて工事中止を

 国連人種差別撤廃委員会が開かれ、日本の人種差別状況についての審査の中で、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設についても議論が交わされた。委員から「地元に関わる問題は事前に地元の人たちと協議して同意を得ることがとても大切だ」との指摘が出た。

 仲井真弘多知事が埋め立てを承認したとはいえ、世論調査では県民の74%が辺野古移設に反対の意思を示している。沖縄の民意と乖離(かいり)した知事承認をもって、政府が海底ボーリング調査などの移設作業を進めることは許されない。
 委員会の場で日本政府の代表は「沖縄に居住する人や沖縄県出身者は憲法の規定により法の下に平等だ。日本国民としての全ての権利が等しく保護されている」と説明した。
 日本の国土面積のわずか0・6%の沖縄県に在日米軍専用施設の74%が集中している。もし政府が沖縄を「平等」に置き「全ての権利が等しく保護されている」状態にあると主張するのなら、沖縄県内の在日米軍専用施設を0・6%まで縮小し、残りの大多数の米軍基地を県外に移設するべきだ。
 同委員会は2010年に日本政府に対する見解として「沖縄における不均衡な米軍基地の集中が住民の経済的、社会的、文化的権利の享受を妨げている」と指摘し、その権利の尊重のために日本政府が適切な政策を講じるべきだとの勧告もしていた。
 果たして政府は勧告に向き合ってきただろうか。むしろ正反対のことを実行したではないか。辺野古で新基地建設を強硬に進め、現場海域では海上保安庁が立ち入り制限区域外の船まで強制排除し、キャンプ・シュワブのゲート前では機動隊が工事車両を進入させるために住民の抵抗を阻んでいる。米統治下の沖縄で土地が強制接収された時の「銃剣とブルドーザー」に等しい暴挙が再び行われ、県民の権利を侵害している事態は許し難い。
 国連の国際人権規約の第1条にはこう書かれている。「全ての人民は自決の権利を有する」。日本も1979年に条約を批准している。政府は沖縄の自己決定権を尊重し、直ちに辺野古移設の工事を中止するのが筋だ。委員による「住民の意思を尊重し、当然の権利を保障すべきだ」との声にこそ真摯(しんし)に耳を傾けるべきだ。