<南風>沖縄発のEVに勝機あり


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 沖縄でEV(電気自動車)の普及が進みつつある。
 沖縄本島の全長は106キロ。1回の充電で280キロの走行が可能な新型EVが出て、各地で充電器設置も進んだことで、走行時の不安が解消されてきた。沖縄は軽自動車の比率が高く、1日の平均走行距離も短い。また、温暖な気候で電池効率もよいことから、EVには適した環境にある。そのため、EVのモデル地域とされ、メーカーは普及に力を入れている。

 ところで、県内でも独自にEV開発をしている組織があるのをご存じだろうか。中城新港地区に拠点を置くものづくり系研究機関「ものづくりネットワーク沖縄」だ。目指すEVはコミュニティービークル、いわゆる地域限定移動車だ。
 例えば、高齢者専用、農業用軽トラック、観光施設用カート、ゴルフカートなどで、大手が参入しないニッチ(隙間)市場をターゲットにしている。基本的にコンバート(改造)EVが主だが、技術力や安全性には全く問題ない。
 課題は、EV用のモーターとバッテリーの確保。特にモーターは日本では大手の独占下にあり、入手可能でも値段が高い。外国製を使用するか、独自開発しかない。そのため、これまで台湾製で開発を進めてきたが、昨年、独自のモーター開発に成功した。性能検査でも優良値が出た。これを搭載すれば、性能、コスト両面で優位に立てる。
 今年6月に8人乗りカートを沖縄平和祈念公園に2台納入した。このモデルはデザイン性も高く、既に他施設からも納入の打診がある。8人乗りカートは日本では生産していない。輸入車は保守に難があるので、ここにも勝機がある。
 今年の沖縄の産業まつりに、最近開発したEVモデルを数点出展する。沖縄でここまで作れるのかと驚かれると思う。ぜひとも、足を運んでいただきたい。
(桑江修、沖縄県工業連合会専務理事)